何処までもやせたくて(34)ついに・・・・・・


合宿初日の夜。

お風呂には、結局、二時間ぐらいいただろうか。
脱衣場に戻ると、誰もいない。
よしよし、と思いながら、いつもの儀式を行った。

体重測定。
今朝は30.6キロだったけど、夕食を抜いた分、百グラムでも減ってるといいな。
そんな期待を胸に、体重計に乗ってみたら・・・

29.7キロ。
初めての20キロ台!
まさか、こんなところで記録できるなんて!!

飛び上がりたいほど嬉しい気持ちと、いつもと違う体重計だからにわかには信じられない思い。
でも、やっぱり、嬉しい!!

30キロを切ることが、目標だったから。

感激を繰り返し味わいたくて、何度も体重計に乗ってみる。

さっき、聞くハメとなったサークルの人たちの会話なんか、もう、どうでもいい感じだ。
いや、これもお風呂でいっぱい汗をかいたおかげだと思うと、
長湯の原因を作った彼女たちに、むしろ感謝したい気分だったりして!?

鏡に映る自分の体も、心なしか、やせた気がするし、
浴衣の帯が幾重にもぐるぐる回るのが、なんともいえない快感。

せっかく手に入れた20キロ台の体を、1グラムたりとも太らせたくなくて、
いつもお風呂上りにする水分補給も、今日はやめることにした。
じつは、ものすごく喉が渇いてたのだけど・・・

念の為、簡単な運動もしておこう。

そうだ、階段の昇降がいいな。

ちょっとのぼせたのか、さっきから全身がだるいけど・・・
広い建物の中で、客室から一番遠い階段を選び、一階から三階までを行ったり来たり。
とりあえず、10往復することにする。

昇りは手すりなしではつらいし、降りはかかとで着地するたび痛みが走るけど、
20キロ台を維持するためなら、全然平気。

そうやって、7往復目の昇りにさしかかったとき・・・
突然、息が苦しくなり、目の前が真っ白になった。
手足がしびれ、足元がよろめき、手すりを持つ力も抜けて。
腰と背中を、階段に強く打ちつけ、激痛・・・・・・

そこで、意識がなくなった。


#小説 #痩せ姫 #拒食 #ダイエット



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