何処までもやせたくて(7)草食?肉食?


東京で、初めての友達ができた。

同じファミレスで、ほぼ同時期にバイトを始めた子。
年齢は1コ上だけど、一浪してるから、彼女も春から大学生だ。

火曜の深夜に、ローテーションが一緒で、すぐに意気投合した。

というより、私が彼女のファンになった、という感じかな。

なみ(ホントは漢字だけど、平仮名のイメージなんだ)ちゃんは、
とにかくきゃしゃで、可愛い。
身長は155センチで、体重は37キロらしいけど、
骨格が細いのか、ギスギスしてないし、私の理想そのもののやせ方。

しかも、うらやましいことに、
ダイエットは生まれてこのかた、一度もしたことがないらしい。
むしろ「油断すると、すぐにやせちゃうから、やばいんだよねー」
なんて、マジに悩んでるみたいだ。

もちろん、ぜいたくすぎる悩みにはそれなりの理由がある。
一緒にいてわかったのだけど、びっくりするほど、少食というか・・・
野菜はけっこう食べるのに、太りそうなものは全然食べない。
お肉とか、揚げ物とか、そういうものはよほど調子がよくないと、
「お腹壊しちゃうから・・・」
口にしないんだって。

休憩時間に、ドレッシングもかけず、サラダを食べながら、
「高校の頃、草食動物みたいって、笑われた」
なんて言ってたっけ。
そういえば、容姿もうさぎとかりすみたいだ。

で、わかったことがふたつ。
ひとつは、やせる法則はちゃんと存在する、ってこと。

私が決めた「食べていいもの」と「食べちゃいけないもの」のルールを、
彼女は、ごく自然に実践できてる。
逆にいえば、そのルールさえ徹底できれば、きっとやせられるはず。
そう、私の考え方は間違っていないんだ。

それともうひとつは、人間って二通りなのかも、ということ。
それは、肉食か、草食か。
ファミレスに来るお客さんは、大半が肉食だけど、
彼女みたいに草食で生きている人だっている。

私も・・・たぶん、本来は草食のはずだ。
生臭いものって、昔から好きではないし、
最初にダイエットしたとき、お肉を食べないようにしたら、すごく快適だった。
その後、親から「太れ、太れ」と言われて、お肉も食べさせられたけど、
苦痛で仕方なかったもの。

そんな「肉食」時代の名残で、今も時々、お肉を食べてしまう私。
でも、本当にやせたければ「草食」に生まれ変わらなくてはいけない。

美容のためには、お肉も食べたほうがいいっていうけど、
それはちょっと信じられない。

たんぱく質なら、大豆から摂ればいいんだし、
脂質は・・・そんなもの、摂らなくたっていい!
現に、お肉をほとんど食べなくても、
こんなに魅力的ななみちゃんみたいな人もいるのだから。

骨格が違うから、やせても彼女みたいにはなれないかもしれないけど、
せめて、体重だけでも、勝たなきゃ。

そうじゃないと、せっかくできた友達に、嫉妬ばかりするイヤなコになっちゃいそう。

だから、草食動物になる。
うさぎやりすみたいに。


#小説 #痩せ姫 #拒食 #ダイエット



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