何処までもやせたくて(2)やせる街で、やせる生活。


東京に引っ越して、初めての日曜日。

生活に必要なものを買うために、渋谷に出た。

大学の下見や受験で来たときも思ったことだけど、東京のコって本当に細い。
春物の薄いコートをきゃしゃな感じで着こなしてる姿を見ながら、
自分がますますデブに思えてきて・・・
短めのスカートをはいてきたことを、後悔した。

でも、その分、やせなきゃっていうモチベーションも上がるから、
私にとってはちょうどいい。
甘いもののお店もいっぱいで、誘惑も多いけど、それさえ断ち切ってしまえば、
きっとやせられる、そういう街だ。

それに、一人暮らしって、やっぱりいい。

太りそうなものは食べずに済むし、一食二食抜いたって誰にも文句は言われない。
おかげで、四日で体重が2キロ落ちた。
といっても、上京する間際に、母を安心させるため、無理して食べていたから、
少し増えていたのが戻ったという、レベルにすぎないのだけど。
増えるより減るほうがいいに決まっているし、減れば減るだけ嬉しくなる。
このペースで、好きなだけやせていいんだ、と思うと、
もう、それだけでワクワクしてしまう。

入学式まで、あと一ヶ月。
42キロぐらいには、ならなきゃいけない。

そのためには、運動もしなくっちゃ。
だから、明日、ジムに入会することにした。
けっこう高くつくけど、バイトも始めるから、大丈夫。
なるべくカロリー消費にもなりそうな立ち仕事を選べば、
ダイエットにもプラスだし。

渋谷では、何かおいしいものでも食べようと思っていたけど、やめにした。
帰宅後も、そんなに空腹を感じなかったから、水だけ飲んで寝てしまおう。
せっかく自由になれたのだから、それを生かさなきゃ。

一人暮らしだと、やっぱりやせられる。

やせる街で、やせる生活。
あまりイケてないキャッチコピーだけど、ノートに書き出してみたら、
これからいくらでもやせられそうな気がした。


#小説 #痩せ姫 #拒食 #ダイエット


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