何処までもやせたくて(25)続・働いてはいけない体重


びっくりしたし、かなり不愉快だけど、ある意味、ひと安心。
まだ、そこまで細くないから。

「でね、お友達の体重のこと、勝手に教えるなんて、どうかと思ったけど、
店長さん、本当に心配そうだったから、
そんなに少なくはないはずですよー、
30キロ台はちゃんとあると思います。
って、言っちゃったんだけど、ごめんね」

「ううん、言ってくれて、助かったよー。
私が自分で言っても、なかなか信じてもらえないかもしれないし。
ホント、助かったー」

ホッとしたのか、一瞬、笑顔のなみちゃん。

でも、すぐに真面目な顔に戻って、
「だけどさー、店長さんも私も、めちゃめちゃ心配してるんだよ。
今だって、やせすぎだもん。
歩き方とかも、少しフラフラしてるし。
しかも、そろそろキープに切り替える、って言いながら、
ダイエット、ずっと続けてるでしょ。
もう、これ以上やせないで。お願いだから」
いつにも増して、真剣な口調と表情。

だけど・・・私はその言葉をちゃんと聞くより、他のことを考えてた。

もしかしたら、
世の中には「働いてはいけない体重」っていうものがあるのかも・・・

うん、たしかに、20キロ台はちょっとねー。
それも、26キロまでいっちゃったら、マジでやばい。
その点、私は大丈夫だ。
20キロ台まで、あと4キロぐらいあるし。

そうだ、どこまでやせればいいか、なかなか決められずに困ってたけど、
そのあたりを、目標にしよっかな。
30キロジャストか、ちょっと切るくらい。
店長の前で、体重計に乗るわけじゃないから、
多少のごまかしはできるはずだし。

ただ、フラフラして見えないよう、もっと注意しなくちゃ!
あと4キロくらい落としても、ちゃんと働く自信はある。
30キロくらいあれば、クビにはならないで済むんだよね。

ダイエットの着地点が見えてきたようで、最近になくすっきりした気分。
そこまでやせて、あとはキープ。
そしたら、なみちゃんも安心してくれるんじゃないかな。

でも、なみちゃんは別れ際に付け足した。

「そうそう、その26キロの子、身長は150センチ台の前半だったんだって。
だから、比率的にはもう、そんなに変わんないんじゃないかなぁ。
ホント、気をつけてね」


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