彷徨える少女

(コメ返記事なのだけど、すでにとりあげた痩せ姫小説についての追加的な分析にもなっているので、載せてみる)

レベンクロンの「少女」シリーズがいいのは、もちろん、心の治療の専門家だというところが大なんですが、同時に、悩める、あるいは彷徨える少女、というものへの、良質な好奇心によるものが、見逃せない気もします。「鏡の中の孤独」の帯に〝青春小説〟というフレーズが記されていて。摂食障害というテーマを扱うことは、もっぱら女性の、思春期的葛藤を描くことだから、彼はそういう姿に、惹かれる人だと思うんですよ。
「4TEEN」のルミナもまさに、41㎏プラスマイナス16㎏の間で、彷徨える少女ですよね。石田衣良は、北川少年の目を通して、両極端のルミナに優しい視線を投げかけていて、そのあたりが、あの作品を魅力的にしてる気がします。

(初出「痩せ姫の光と影」2010年10月)


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