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ルノワールとジャコメッティ

前の記事(「巨乳の生物学的意味」)に、こんなコメントが寄せられた。

「胸。やはり女性としてのシンボリックなものなのですね。丸みを帯びた女性らしいライン、曲線以外の何者でも無いです。丸みとくればルノワールの裸婦とでも言いましょうか」

そこで思い出したのが、ルノワールとは真逆の芸術家だ。
ジャコメッティ。
その彫刻が表現する「丸み」のない「直線」的な体は、拒食症者の姿を形容するときに、よく使われる。そういえば「嘔吐」を書いたサルトルも、現代人の実存的葛藤を具現化する芸術として、その彫刻を絶賛したんだっけ。
だとすれば、ルノワールのそれは、失われゆく原始的なものへの憧憬、もしくは郷愁として、今は見ることもできるかな。

「巨乳の生物学的意味」のなかで、母乳は尻や腿の脂肪から作られる、という研究事実を紹介したけど、このニ作品が表現した女体を比べると、母乳の量に圧倒的な差がありそうだ。


(初出「痩せ姫の光と影」2010年10月)


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