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京都の祇園ばやしの夏に・・・

祇園祭りが近づく京都の夏

華やぐそぞろ歩きの人通りの多い通りに

高いビルに挟まれた古い平屋の町家があった

その前を 何気なく通り過ぎた時に目に入った光景

それは

開け放たれた窓に御簾に浮かんだ黒い人影だった

その人は 行き交う人道りにむかって長椅子にゆったりと座っていた

見つめるでもなく 漠然と行き交う人のざわめきを聞ているようだった

こちらからは 顔は見えずシルエットのみが 私の脳裏に焼き付いた

私はその時「寂しいだろうなあ!」と 勝手に直感した

後で知ったことだが 

その家に 一時期フランス人が住んでいたらしい

しかし、その次の夏には その家の窓は閉ざされ

引っ越されたとのこと

日本の夏を 京都の町を そのフランス人はどのように感じたのだろうか

60年も前のことなのに

京都の祇園ばやしの夏が来ると

その人の影を思い出す

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