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「イーハトーブ賛歌」by多和田史(2)

 「イーハトーブ賛歌」(1)でこのピアノ曲は「組曲」であったほうが…と書いてしまったのでそれを確かめる為に、一昨日 月一の内科診察の後 足を延ばして、ヤマハ音楽教室に行ってきた。

 積み木を並べたようなビルの6階に「ヤマハ音楽教室」はある。     その受け付けで
「あの~、つかぬ事をお訊ねしますが 多和田史さんの『イーハトーブ賛歌』のピアノ曲は『組曲』ですか?」と聞くと、
「お待ちください」とパソコンですぐに調べてくださった。
「それはピアノ曲ですか?」
「はい!」と答えると、彼女は画面に顔を近づけ
「おまちくださ~い」と キイを何度か叩く。それにつられて、こちらまで彼女のパソコンに顔を近づけるように身を乗り出してしまっていた。
「そうですねえ。以前、ドレミ出版社から出ていたようですねえ」
「へ~、どれぐらい前ですか?」
「う~ん」しばらくの沈黙、そして
「それが、ちょっとわからないんですがあ、『イーハトーブ物語』として…
その中に『イーハトーブ賛歌』があったようで~す…よ」と、言って彼女は目をあげた。 黒縁の眼鏡の中に黒い瞳が申し訳なさそうに こちらを見て
「数年前に廃版になっていますね!」と、きっぱり言った。
「あ~、『イーハトーブ賛歌』は やはり『イーハトーブ物語』の中の一曲だったんですね!」私は なんだかホッとした気持ちになった。
「お忙しいところ、ありがとうございました。それが知りたかったんです」

 やっぱり、組曲として あったんだ!
きっと、「イーハトーブ賛歌」は最後の〆の曲に違いない!

 私は 廃版になっていたことは残念だったが、妙に納得していた。そして夕方の寒空に吹き付ける風に襟を立ててバス亭に向かった。

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