見出し画像

”代書や‘‘始めます?(1)

 私の住んでるところも 高齢者が多く、40年も住んでいると新参者も 古だぬきになる。なんだかんだと言いながら親を見送りそして夫を見送り、私 なんざぁ 娘まで送ってしもたわさ!

 年の功というもんわ、ボーッと生きてりゃ、なにがしか付いて来もんね。
私の周りにゃ 同い年が数人と上のもんばっか!
「仲良し3人組」というと、なんや可愛らしい3人組か、と思うやろ?
それがぁ、私が一番下でふたりとも87と90やわ。
どないしても、いちば~ん若い私が 面倒見なあかんやろうなあ。

 この数日前も87の市子ちゃんが なにやらハガキを持ってピンポ~ン!
「ちょっと、ちょっとあんた、これどうしたもんかねえ」と来た。ほんで
「なに、どうしたん?」って聞いたら、喪中のハガキを見せて
「姪っ子の義母さんの訃報なんやわ。 亡くなってから月が過ぎてるから 『ご仏前』やわなあ。送るのにお菓子つけなあかんやろか?」と聞いてきた
「そうや、もうご仏前やなあ。けど、お菓子いるやろか?いらんと思うわ。現金封筒で送っといたら、お菓子付けんでええんと違う? あかんか!」
「そやな、そんならお菓子買いに行かんでもええし…しゃあけど、電話せなあかんやろ?どない言うたらええのんかなあ。私、こんなん全部お父さんがやってくれてたんで、苦手やわ~」 あら、お幸せ! 
「電話なんかせんでもええやん、ご仏前に一筆書いといたらええんやんか」
「いや、その一筆が どない書いたらええんかわからんのよォ。 あんた、書いてくれへん?」ときた。
「え~、そんなん お決まり文句でええやんか?」という私に
「それが書けんのよォ、あんた上手やろ?」と手を合わすんで
「ほな、お決まり文句でええか?」ということで下書きを書いた。

「前略失礼いたします。
 この度は喪中のお葉書を受け驚いております。義母様とのことさぞかし お寂しいことと思います。が 93歳とのこと、大往生とお思いになり皆様お力落としになりませんように。
こころばかりではございますが『ご仏前』を送らせていただきました。  お供えいただければ幸甚でございます。
 ご主人様にくれぐれもよろしくお伝えくださいませ。
                              合掌 」

「これでええかあ?」と持って行くと
「これでええ、これでええ! ありがとうな、あんた『代書や』始めたら? みんな助かるでえ」と、ニコニコ顔が返ってきた。
「そんなこと、『お安い御用』やから、いつでも言うて~」というと
「ほんま、助かるわ! ありがとね~! 又 お願いします」


 いやいや、これも「note」のお蔭やわあ。 
なんちゃ~ないことが 人にとって、大いに助かることがあるんやなあ。
「こんなことやったら、『代書や』はじめても ええなあ~!」と、
私は密かに思った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?