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6戦無敗から6戦未勝利に…昇格に向け立て直し必須 いわてグルージャ盛岡戦レビュー(2022年J2第20節)

こんヴァンフォーレ!
今回は6月5日(日)に行われた
2022年J2第20節
いわてグルージャ盛岡vsヴァンフォーレ甲府のレビューをお届け!


1.概要

天皇杯を含む5連戦の最終戦を迎える。
そして、今節でリーグ戦は第20節ということで、前半クールもこの試合を含めて残り2試合。折り返し地点も間近に迫ってきている。

ターンオーバーでメンバーを大幅に入れ替えた天皇杯2回戦は生え抜きの次世代エース内藤選手やこれまであまり出場機会に恵まれていなかった中山選手のゴールなど5-1で快勝。大学生が相手だったとはいえ価値のある久しぶりの公式戦勝利を手に入れた。

リーグ戦に限った話をするとGW5連戦の4戦目の群馬戦に勝利して以降、白星から遠ざかっている。
それでも負けているわけではなく、5試合連続のドローでさらには4試合連続の1‐1というスコア。
無失点に抑えていればとか、追加点が奪えていればと思ってしまう試合がずっと続いている。

今節も天皇杯に出場した選手たちが躍動した勢いを持って、久しぶりのリーグ戦勝利に向けて90分を戦うこととなる。

今節の対戦相手はいわてグルージャ盛岡。
今季J2初参戦ということで、初対戦ということになる。
前節の熊本戦に続き2試合連続のアウェーゲームで、連戦の疲れや長距離移動などのコンディションの難しさもあるが確実に勝利を収めたい。

岩手は元日本代表DFの秋田監督がチームを率い、堅い守備からカウンターでゴールを目指すサッカーという印象。

今季はここまで4勝しているものの7連敗が響き下位に沈んでいる。そして、また3連敗中で迎える今節は今季ここまで勝利がないホームゲームとなる。

失点を最小限に抑えつつ、直近の試合で課題になっている複数得点ができるかが重要だ。


2.選手紹介

いわてグルージャ盛岡

いわてグルージャ盛岡 スターティングメンバー

甲府の基本布陣と同じく3-6-1のフォーメーション。
守備時にはしっかりと5-4のブロックで固め、カウンターを狙う形となる。

注目はFC東京から育成型期限付き移籍で加入間もない中ですぐさま先発出場を果たした左ストッパーの蓮川選手。
FC東京の下部組織や明治大学で経験を積み、今年で大卒2年目の期待の若手選手である。

また控えにも鹿島や山形でプレー経験のあるベテラン中村選手やビスマルク選手などにも警戒したい。

ヴァンフォーレ甲府

ヴァンフォーレ甲府 スターティングメンバー

今節も3-6-1のフォーメーション。
同フォーメーション同士のミラーゲームとなる。

熊本戦との入れ替えは3人。
林田選手に代わり、出場停止明けの野澤陸選手。
松本選手に代わり、山田選手。
宮崎選手に代わり、長谷川選手。

野澤選手以外は天皇杯をスキップもしくは少ない出場時間の選手がメンバーに入り、フレッシュな選手で連戦の最終戦を迎える。

ミラーゲームでの成績があまり良くない印象ではあるが、可変の部分で違いを生み出して相手を上回りたい。


3.試合結果

いわてグルージャ盛岡vsヴァンフォーレ甲府 スコア表

シュート数、ポゼッションでいわてを上回るも結果は敗戦。
これで群馬戦から続いた6試合負けなし(1勝5分)から栃木戦から続く6試合勝利なし(5分1敗)という明白なマイナスイメージの結果となってしまった。
長いトンネルに入ってしまったという状況だ。

追加点を奪わなくては勝てないという流れから今節はノーゴール。
この事態をどう捉えていくか。
ハイライトを中心に試合を振り返る。

前半19分 幅を使った攻撃で決定機を迎える

中盤の石川選手のパスを須貝選手がスルーして右サイドの関口選手へボールが渡るとダイレクトで須貝選手へパス。
すかさず中央のリラ選手を経由して左サイドの小林選手へ展開する幅を使った攻撃。
小林選手は近寄った長谷川選手を使ってワンツーで左サイドを切り裂き低めの早いクロスを送り込むがゴール前のリラ選手は合わせることができず。

前半24分 不運な形で先制点を献上

甲府の左からのFK。長谷川選手の蹴ったボールはクリアされると岩手の選手が足を伸ばして触るとルーズボールに山田選手と岩手の選手が球際で争う形となる。
なんとか岩手の選手が触りサイドへ流れるかと思うと、そこに審判登場。審判に当たったボールはサイドに流れずに前がかりになった岩手の選手のアシストとなり一気にカウンターが発動。
最初の3対2という数的不利な状況に陥ったが多くの選手の懸命な戻りで何度も相手のシュートを阻み続けたが、こぼれたボールがことごとく岩手に転がり続け、最後はボランチの石井選手の執念のゴールで先制点を献上してしまった。

前半37分 ミスからピンチを迎えるも河田選手のファインセーブ!

失点シーンの流れで甲府の選手たちはやや感情的、主審もナイーブなジャッジが続き落ち着きのない前半を過ごしていると、甲府のミスを突いた岩手がチャンスを迎える。
須貝選手に対し、前からの鋭いプレスでボールを奪った岩手の中野選手がファー上を狙ったコントロールショットを放つと河田選手が横っ飛びでファインセーブ。守護神がチームの窮地を救った。

前半終了

立ち上がりすぐは岩手がペースを握るも徐々に甲府の時間帯を迎えた。しかし、その中で与えた岩手のゴールで難しい展開となり、一部の選手には精彩を欠くシーンも見られた。
しかし、まだ1点差。直近の課題である1点のみならず2点目を奪って勝つサッカーを表現すれば勝てる試合。そのための後半45分となる。

後半10分 鳥海選手の裏抜けからシュート!

DFラインの須貝選手からのロングボールに関口選手と鳥海選手が反応。
最後は鳥海選手がトラップし、ゴール右から豪快なシュートを放つ。
シュートは枠を捉えたが松山選手の好セーブに遭う。

後半27分 波状攻撃を仕掛けるもゴールは奪えず

左サイドのハーフライン付近から小林選手がドリブルで持ち上がると斜めに走りこんだ石川選手へパス。石川選手はヒールパスでフリックするも三平選手に合わない。
岩手の甲斐選手がクリアするもすかさず山田選手が反応。三平選手のシュートモーションから右サイドの関口選手へスルーパスを送るとクロス。
そのクロスボールに再び三平選手が合わせる。しっかり叩きつけた良いヘディングシュートだったが、またしても松山選手のファインセーブによって阻まれてしまった。

後半31分 CKの流れからピンチを迎えるも岩手の追加点は絶対阻止

岩手の右CKの流れから1度はクリアしたものの、再び岩手が右サイドからクロスを供給。そのボールにビスマルク選手らが反応するが甲府守備陣も身体を張った守備で守り切る。 

後半38分 終盤、セットプレーから攻め込むもゴールが遠い

敵陣ほぼ中央の位置からFKのチャンス。キッカーの松本選手が蹴ったボールに途中出場の大和選手が打点の高いヘッドを放つがここでも松山選手の牙城は崩せない。

後半44分 河田選手の連続セーブ!

追いつきたい甲府は前がかりになるがうまくボールが繋がらず、岩手のカウンターを食らってしまう。
オタボー選手が抜け出し強烈なシュートを放つも河田選手がファインセーブ。こぼれ球から再び岩手が左サイドからクロスを上げシュートを放つがこちらも河田選手ががっちり反応して失点を許さない。


ロスタイムの8分も最後まで攻め続けたが引き続き最後の質の部分と相手GKのファインセーブによって同点にもできず敗戦となった。


4.今節のポイント

①失点に繋がった審判のジャッジについて

結果的に2点取って勝つという課題を克服できていたら単純に考えると失点したとしても1-2で勝てているのでつべこべ言うことでもないのだが、サッカーは流れというものがあるスポーツ。
あの失点がなければ甲府が先制点を奪えていたかもしれないなどと「たられば」は尽きない。
そんなわけで、失点に大きく影響したといえる主審にボールが当たったときの判断はどう定められているのかは一応はっきりさせておいてみたい。

調べた限りの最新の競技規則ではボールが審判員に触れた場合、条件付きでアウトオブプレーとなることが示されている。
その条件は3つ
a.チームが大きなチャンスとなる攻撃を始める
b.ボールが直接ゴールに入る
c.ボールを保持するチームが替わる
それぞれの条件は「または」という形で綴られているので、いずれか1つに該当すれば適用ということになる。

bは直接ゴールに入ってないし、cはルーズボールに対し岩手の選手が触ったボールが主審に当たったので明確にどちらのボールということもないので、ボールを保持するチームが変わったとも判断しづらい。

このことから
aの条件を満たしたかどうかが重要。
そして一番厄介なのがどの瞬間をもって「大きなチャンス」となったのかがはっきりしないことである。

主審に当たり、岩手の選手がボールを持った瞬間の23分02秒時点では、ボールを拾った岩手の選手が岩手の選手の中で最も前にいる選手であるため、この状況では2:1で甲府のほうが数的優位で、ボールはまだ岩手陣内。

しかし、その4秒後の23分06秒時点では岩手の選手が2人駆け上がってきているため、2:3の状況で甲府のほうが数的不利な状況でディフェンシブサードに侵入される形となっているため、この時点では岩手にとって大きなチャンスになっていると言える。

つまり、大きなチャンスになったと判断するのがどのタイミングかということと甲府ゴールまでの距離が焦点になるが、これはやはり主審の判断次第としか(笑)

ただ、ダゾーンで映像を確認して思ったことは、岩手の選手がボールを持った23分02秒のシーンで主審よりも甲府陣側に岩手の選手が4人、甲府の選手が3人。この時点で甲府ゴールに向かって攻め込む人数のほうが多いので大きなチャンスに繋がると個人的には判断できるとは思うのでプレーが止まっても良かったのではないかと思う。

もちろん、ダゾーンで見たからこの判断に至ったので現場ではわかりえないことや瞬時の判断が難しいことも承知の上で、個人的な意見を述べてみた。

ちなみに、主審に当たったボールが岩手ゴール側に転がり、甲府の選手がボールを持ったらドロップボールになっていたとは思う(笑)


②1つのチャンスに対する気迫

①に関連して失点シーンについて。
主審のジャッジがあーだこーだ言うのはもう別にいいとして、あの失点を防ぐのは不可能だったかと言われればノーだと思う。

岩手が攻め込んでゴールにたどり着くまでに甲府も何度かボールに触ることはできたし、シュートブロックもできていた。
ただ、あのシーンだけは何度触っても、何度跳ね返しても必ず岩手の選手の元へボールが転がり続けるとすら思った。
それくらい岩手の選手が(主審にボールが当たったとしても)「このボールを必ず甲府ゴールへ決め切ってやる!!」という強い意志を感じた。

甲府の選手が「守り切る」と思っていないとは言わない。必死に守ったからこそ、何度も何度も跳ね返して凌ごうとしていたと思う。
でも1つのチャンスに対する執念で上回ったのはきっと岩手だったと思う。
ボールが転がる方向なんて偶然によって決まるが、きっと強い意志のある場所へ転がるとも思う。科学的に証明することはできないけれど。

岩手の連敗ストップとホーム初勝利への意地は敵ながら、いちフットボールファンとして感動するものがあった。
甲府ファンからしたら悔しい失点と敗戦でしかないのだけど...


③試合後、吉田監督インタビュー

試合とは少し話が変わってくるが、試合後の吉田監督のコメントが印象的だった。

内容はダゾーンや公式サイトのものを見てもらえればわかるので、ここでは割愛するが監督にとっても選手にとっても、ここで腹をくくるという決意を持ってこれからの前半クール残り1試合、そして後半クールに向かっていくのだと思う。

勝っても連勝できるように反省、引き分けても勝点1を勝点3にできるように反省、そういうチームであれば5試合連続のドローからの敗戦という結果とは違ったかもしれない。
しかし、良い意味でも悪い意味でも若いチームということも事実。
負けて一度リセットしなくては踏ん切りがつかないこともあると思う。

この敗戦を糧に、戦いは続くのだと思う。


5.まとめ

熊本戦が終わった時に思ったこととして、混戦模様の今年のJ2だが上位3チームが抜け出していることから、前半クールの残り2試合(岩手戦と千葉戦)で2連勝しないと自動昇格圏は難しくなると感じた。

そして今節の結果を受け、順位表的にも厳しいものがあると感じたが、それは後半クールで盛り返すことができれば可能性は大きく変わってくる。

千葉戦は、今節のショックからの立ち直りと決意を新たに仕切りなおす一戦となる。すぐには結果は残せないかもしれない。
それでも、その次の試合、またその次の試合と一戦一戦で積み上げていくしかない。
成長が先か、タイムリミットが先か。

戦う相手は相手チームだけではないということを忘れずに、1試合+後半クールをファンサポーターも一緒に戦っていきたい。

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