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ももクロ「春の一大事」論〜芸能と地域振興

モノノフの間では「春一ロス」という言葉がこの時期には蔓延しております(笑)。
よくワンクールに渡るドラマや半年に及ぶ朝ドラ終了直後に○○ロスと呼ばれる虚無感に襲われる視聴者が続出しますが、アレと同様の現象が起こるわけです。

□そもそも春一とは?

その「春一」というのは、ももクロが毎年春に開催する野外ライブのシリーズ「春の一大事」の事です。
その起源は2011年、中野サンプラザで行われた早見あかり脱退公演「4.10中野サンプラザ大会 ももクロ春の一大事〜眩しさの中に君がいた〜」にあります。
前年末脱退を表明した早見の最後のステージとなる公演は正に残される5人にとっての一大事でした。そして、この公演の第二部終演と同時に、5人となった彼女たち(ももいろクローバー)にZが付く事になったという一大事でもありました。
翌年は「ももクロ春の一大事2012 横浜アリーナ まさかの2DAYS」。まだ経験浅い5人で横アリ二日間というだけでなく、初日と2日目で全く違う構成演出、どころかステージセッティングまで全く違うという、それも2日目は円形センターステージもいう正に一大事でした。
因みに2013年春は西武ドームで、坂本冬美・松崎しげる・南こうせつ・広瀬香美・mihimaruGTといった大先輩たちとのコラボ、そして初の生バンド演奏がバックという内容に。
2014年はよく知られる「国立競技場(旧)」での2daysでした。国立競技場でのライブは彼女たちの夢のまた夢だったもので、東京五輪の為の大改修を控えた時期だった事から「まさかの」夢の実現を果たした事や、二日間で計11万人を動員した事で、それまで最大の一大事になりました。
と、それまで4年続いた「春一」でしたが、翌年は開催されず、2016年もアルバム発売に合わせた全国ドームツアーのため、行われませんでした。

もう春のオオバコは無いのかな。。。と誰もが思いかけていた2017年、復活したのが「ももクロ春の一大事2017 in 富士見市 〜笑顔のチカラ つなげるオモイ〜」です。埼玉県富士見市というのはメンバーの一人(当時)有安杏果の出身地で、彼女が同市のPR大使を務めていた事と、当時同市が市政45周年だった事から実現しました。
芸能ライブ関連の施設が全く無い運動公園にゼロから舞台、客席などの関連施設を組み立て、自治体とタッグを組んで二日間開催されました。

地元新聞の号外も会場で配布されました。
最寄りの東武ふじみ野駅には特設看板が設置されました。

写真のように、単に場所貸しするだけでなく、自治体、周辺商店、住民、周辺企業をも巻き込んだ一大事となりました。

コレをきっかけとして、毎年「春一」終了と共に全国の自治体から翌年の開催地を募集し、長期に渡って準備した上で、自治体を軸とした地元の幅広い企業、商店、住民とのコラボ開催することが恒例となります。
2018年は、滋賀県東近江市。
2019年は、富山県黒部市。
2020年は、福島県の楢葉・広野・浪江三町合同
開催される「はず」でした。しかし、今も続くコロナ禍の為2年延期され、やっと今年2022年無事開催されました。

ちょうど1週間前でした。
その2日目ラストに彼女たちから告知されたのが、来年の開催日。

そう。来年の開催日を先に決めてしまい、そこに合わせて受け入れ出来る事が開催自治体の第一の条件な訳です。逆を言えば、今からターゲット日がわかっていれば、自治体は予算をつけて決裁し易い訳です。

□一大事の意味が変わった

ここまで説明した通り、2011年から2014年と、2017年以降で全く違うコンセプトのライブになっている事が分かります。
当初はメンバーたちにとっての一大事となる大きな壁となる課題を乗り越える意味での公演でした。
しかし現在は、開催自治体と地元の人たちにとっての一大事となる一大イベントという意味合いになっています。

いや、何もないだだっ広いところを会場にしたライブイベントは他のアーティストもやってるし、珍しい事じゃ無いでしょ?」とツッコむ人も少なくないでしょう。確かに長渕さんなんかは、桜島やら富士の裾野でバカでかいライブをやりました。それに比べれば「春一」の規模はとても小さいと言えます。

しかし、ホンマに凄いんですよ。

それこそが「春一」に毎年付けられているサブタイトルです。『笑顔のチカラ つなげるオモイ』。元ネタは先述した2015年春の国立競技場、その2日目最後に飛び出したリーダー百田夏菜子の名言です。「私たちは天下を取りに来ました。でもそれはアイドル界の天下でもなく、芸能界の天下でもありません。みんなに笑顔を届けるという部分で天下を取りたい」。
それまで、紅白や国立を目標とし、運営チームも上へ上へと彼女たちに課題を与える事で成長してゆく姿を見せる事で注目を浴びさせる作戦でしたが、この夜の百田のひと言で2014年以降の指標が「幅広い人たちに笑顔を届ける」事に自然となってゆきました。多分、どんな刺激的な企画でも「それって人々を笑顔に出来るかい?」と疑問符が付いた時点で却下されたのではないでしょうか?

□笑顔のチカラ つなげるオモイ

春一というライブは面白い位、不思議な盛り上がりを見せます。
例えば、普通の芸能ライブではまず見ませんが、本編ライブが始まる前に地元自治体の首長がステージに上がり「開会宣言」をします。そして、首長さんがモノノフたちの人気者になったりします。何故か開催後も、全くよその自治体で開催される翌年、翌々年の「春一」にも登場したり、会場に観光ブースを出して賑わいます。
首長同士も仲良しおじさん(笑)のようにずっと繋がったりします。

全国から集まるモノノフたちは、開催地周辺の観光スポットや人気商業施設などを訪ねまくります。その為に、前乗り、前々乗りしたり、開催翌日もわざわざ居残って、一日かけて観光地巡りをしたりします。その年だけでなく、春だけでなく、何度も訪れて、地元の旅館や商店の皆さんと顔見知りとなったりします。

実際周辺観光も楽しまれたモノノフさんの記事⤵︎

時間という縦軸、場所という横軸、さらに人と人との繋がりというトリプルでの「つながり」が生まれます。
そういえば、今年の「春一」ラストの挨拶であーりん(佐々木彩夏:ピンク担当)が言いました。
モノノフさんがお邪魔しますという気持ちでライブに参加してくれるおかげで私たちも自信を持って日本の各地でライブができることがうれしい」。そう。モノノフのマナーの良さは、春一だけでなく、全国ツアーや夏のライブなどでも評価されています。だからこそ安心して全国何処でも開催出来るし、運営チームは自信を持って開催成功を約束出来ます。

メンバー4人、全国のモノノフ、運営チームみんなの「笑顔」が「チカラ」となって、出迎える開催地の人々の緊張をほぐして笑顔にします。そんな笑顔の輪が年々「繋がり」「広がる」事で、全国に幸せが広がる。。。そんなプラスの連鎖を生み出すのが「春一」というライブです。

□笑顔のきっかけとは

モノノフの皆さんの中には、ここ数年は「春一」が恒例ライブになってて意識して無いけど、そもそも何がきっかけだろう?と思う方もいらっしゃるでしょうね。

ココからは自分の想像ですが、それは2015年夏のライブ「桃神祭2015 エコパスタジアム大会」のような気がするのです。
エコパスタジアムは、静岡県袋井市にある総合運動公園の競技場。袋井市の二つ西隣は、リーダー百田の出身地:浜松市です。つまり、百田夏菜子の凱旋公演の意味合いも有るライブイベントでもありました。因みにそれまでの夏ライブは2年連続横浜市の日産スタジアムが会場でした。
他の大型ライブも埼玉県の西武ドームやさいたまスーパーアリーナ、神奈川県の横浜アリーナなどが使われていた事から見ても、特別な地方開催だった訳です。勿論、2015年春のファンクラブ限定イベントは福岡県の福岡ドームは使われましたが、当イベントは百田の地元ということもあり、浜松餃子のブースをはじめとする名産品販売、ももクロとコラボした地元銘菓の販売、静岡県の人気飲食店さわやかとのコラボ、百田も参加するちゃっきり節の披露などが行われました。JTBによる全国各地からのバスツアーも組まれましたし、自主的に全国から集まるモノノフたちは、最寄りの浜松市だけでなく静岡市など広範囲に宿を取り、観光も楽しみました。この時も、モノノフのマナーの良さは地元の人たちに評価されていたように思います。

そういった色々な面で、運営チームで閃くものが有ったのでは無いでしょうか?
2017年の全国47都道府県ツアー「青春」を前に、2016年には、基本トークショーとなるファンクラブイベント「ロケハン」ツアーが全国各地で行われました。メンバーは歌わないし、5人揃わないけど、それでもよければという条件ながら、各地で満員大入り。写真&動画撮影OKの通路ご挨拶など、ファンのマナーの良さに太鼓判が押される印象的なものでした。

そんな中、企画が進行したのが富士見市での「春一」でした。両日雨模様ながら、全国から集まったモノノフたちは地元や周辺の観光を楽しみました。ファンとは別に地元市民向けのチケット販売、地元小学生たちによる合唱企画も有りました。
ふと思い出すのは「ももクロが無ければ富士見市を訪ねる事は無かったよね」という声です。それは、翌年の東近江市、2年後の黒部市も同様です。ももクロを媒介して未踏の地方都市を訪ねる機会が与えられるという事も大きな意義となりました。

春の一大事2017 富士見市の様子

どんな事でも物でも最初は手探り、少しずつ修正される物ですが、「春の一大事」も当初は大規模なステージセットと生バンドでしたが、翌年の東近江市では、ごく少ない材料での、それも間口に比べて奥行きの狭いステージセット、生バンドも無しになったり、開催地から地元へ戻る人達のために開催時間を早めたり、そもそもキャパシティも少し減らしたりと改良が加えられました。

春の一大事2018 東近江市での花火
春の一大事2019 黒部市の会場の様子
著者撮影、黒部会場から駅への帰り道。まだ夕焼けの中という早い終演時間だった。
春の一大事2022  Jヴィレッジ会場の様子(ニコ生画面より)

□全国の自治体の皆様へ

さて。
既に「春の一大事2023」は、来年4月22日(土)23日(日)開催が決定しています。
是非、全国の自治体の関係者の皆さん、立候補お願いします。
我々モノノフが駆けつけます。皆様の地元を盛り上げましょう。きっと好きになるリピーターも少なくないと思います。我々の笑顔で皆さんが笑顔になり、皆さんの笑顔が全国にファンを広げます。そしてももクロを、きっと好きになってもらえると思います。

何故そんなに自信があるか?

コレだもの⤵︎
▪️ももクロ公式サイトより「春の一大事 ご協力ご誘致の案内」

記事より抜粋

<このようなことを過去にさせていただきました> 
・広報誌や地元メディアなどで地元の良さを地域PR。メンバーも直接おうかがいして名所などをご紹介
・地元企業さま、自治体様などとコラボ商品を開発 
・地元キャラクターとのコラボ 
・地元市民様への優先チケット購入枠とご招待枠などを設けさせていただく 
・設営時の施工業者様、食事や備品の手配などを地元の企業様に依頼させていただいたライブ会場作り
・ライブ会場に隣接したエリアをご提供いただける場合、物販&フードパークなどのエリア展開、パーク内にて地域をPRいただける自治体ブースご出展 

<ももクロ運営で行うこと(一部抜粋)> 
・ももいろクローバーZの出演 (出演料はいただきません
・ライブ(および外周パーク)の制作・運営 
・ステージの制作および運営にかかる経費 

【ご協力において下記のご確認をお願い致します(一部抜粋)】 
※無償使用できる会場候補のご用意があること 
※地元の住民の皆様、現地警察などのご理解・ご協力を得られること 
※全国のももクロのファンの皆様が行きやすい、安全にアクセスできる場所であること 


えー、つまりですね。
場所をタダで貸してくれたら、全力で開催地を盛り上げまっせ!と。開催前からメンバーを現地に訪問させて挨拶、各地へ出向いてPRもしまっせ!と。地元企業とコラボもしまっせ!と。イベント出演どころか事前PRで行く時もギャラ支払いは不要ですよと。取り敢えず場所代はタダにしてねと。ボランティア沢山揃えてねーっと。きっと満足してもらえますよと。
そういう話です。

既に熱い岐阜ノフさんが記事を書いてらっしゃいます⤵︎

あ、そうそう。
ももクロっていうと、怪盗少女の頃の元気でやんちゃな女の子のイメージが強いですが、今やオトナの女性たちです。子供向け番組もやってるので、お子さんたちへの対応も上手いですよ。
きっと目から鱗です。

因みに5月、間も無くニューアルバムも出ますので是非チェックして下さい。

結局、ファンによる宣伝になっちゃいましたw

(何処が論やねんw)

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