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第 2 回日本演奏芸術セラピイ研究会 抄録

令和 6 年 7 月 14 日(日曜) 順天堂大学 7 号館 1 階カンファレンスルーム5:20~16:00 一般演題 座長:松本拓也 やつか整形外科内科

演奏時のジストニア改善に必要な要因についての考察―語りの SCAT と TEM による分析
A Study of Factors Necessary to Improve Dystonia During Performance -Analysis of Narrative by SCAT and TEM
田島明子 神保洋平 Akiko Tajima, Yohei Jimbo
湘南医療大保健医療学部 Shonan University of Medical Sciences

【目的】ピアノ演奏のジストニア症状が回復しつつある A 氏の語りを複線径路・等至性モ デル(TEM)にて分析し、症状改善に必要な要因の考察をした。
【方法】対象:A 氏、30 代、男性。5 歳からピアノを弾き始め、大学(工学部)2 年時にジストニア症状が出現。方 法:2023 年 12 月に個別的・半構造化インタビューを実施し質的データとした。SCAT (Steps for Coding and Theorization)にて構成概念を生成し、TEM に沿って分析した。 TEM では、EFP:人生を方向づける重要な選択、P-EFP:EFP 以外の選択可能性、BFP: EFP を辞める選択、OPP:ジストニア発症とその経過、SD:ジストニア改善の阻害要因、 SG:ジストニア改善の促進要因とした。所属機関の倫理審査承認後実施した
【結果】構成 概念は【】とした。趣味のピアノ演奏にて右手小指の震え後、環指の巻き込みの症状が現 れ、簡単な楽曲すら弾けなくなる(OPP①)。【ジストニアと診断】を受け(EFP①)、医 師に教えられたリハビリ方法を行うも改善が得られず【リハビリ意欲の阻害】(SD①)さ れた状態が続いた(OPP②)。しかし伴奏の機会を得て【リハビリ意欲の促進】(SG①) となり、インターネットで発見した【ジストニア回復者によるリハビリ指導】を受けるこ とになる(EFP②)。様々な【リハビリ指導内容】があり【改善の速度】も早かったが (OPP③)、リハビリ指導者より【改善方法の主体的探索の重要性】を言われ、【ジストニ ア回復者によるリハビリ指導】は控え(BFP②)、【改善方法の主体的探索】を行うように なる(EFP③)。【受動的姿勢では改善は限定的】と感じる(SD②)。それにより【回復の 感覚】が増え【未回復の感覚】が限局したものとなった(OPP④)。【ジストニア経験がな い人の症状への理解のしづらさ】があると感じている(SD③)。
【考察】楽器演奏のジスト ニアは難治性で孤立化しやすく改善方法を見つけづらいが、ジストニア経験のある人同士 のピアサポートや自分なりの改善方法の探索・発見により徐々に回復すると考える。

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