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認知症・高齢期の人が「よりよく生きる」ための支援

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作業療法の視点を多くの人に知っていただき、活用していただくことを目的としたマガジンです。作業療法は「作業遂行」が様々な要因で障害されてしまった人へ、「作業遂行」を取り戻すべく支援… もっと読む
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2020年11月の記事一覧

認知症ケアの倫理・パーソンセンタードケア

 参考・引用文献:箕岡真子著2010「認知症ケアの倫理」ワールドプランニング ○倫理4原則 ・自律尊重原則:他人の自己決定を尊重すること ・善行原則:患者の利益・幸福のために善い行為をすること ・無危害原則:侵害回避をすること ・公正原則:人々を公平・平等に扱うこと ○家族介護者の役割p48~  ・「認知症ケアの倫理」の重要な役割は、家族をはじめとする、進行性の認知症に関わるすべての人が安心できるようなケアの倫理的土台をつくること  ・「認知症の人の尊厳はなにか」「人であ

レビー小体型認知症の当事者経験からわかる症状を軽快するもの、介護者、同じ病を持つ人へ伝えたいこと

樋口直美著2015「私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活」ブックマン社、より ○症状を悪化させた/させるもの ・薬の副作用(誤診から処方された抗精神病薬) ・ストレス(認知症と診断される意味、幻覚など) ・低気圧・気候(雨・台風・季節の変わり目) ・体の状態(疲れ、冷え、睡眠不足) ・他の病気 ○症状を改善したもの ・笑うこと・楽しい・うれしい・ワクワクするもの ・脳や体の血流をよくするもの(運動:特にリズミカルなもの ツボ刺激 体を温める アロマ 専門医が

認知症の人のためのいきいきリハビリ

 認知症の人のためのいきいきリハビリは、認知症介護研究研修大府センターが開発したもので、イギリスの臨床心理士であるspecterによって開発されたCognitive Stimulation Therapyを参考にして、パーソンセンタードケアの理念を基盤に作られた個別認知リハプログラムであり。  10種類のアクティビティを行うなかで、現実見当識や記憶等にかかわる脳活性化を行い、自信の回復やQOLの向上を目指している。  マンツーマンで行い、1回20~30分程度となる。 認知症

「作業行動研究」という雑誌で認知症を扱った論文(事例報告のみ,アブストラクトあり)のリスト

1. 慢性疼痛を持つ認知症者の生活への動機づけに着目した事例 人間作業モデルと認知神経リハビリテーションモデルを用いた作業療法 Author:渡部 雄太(高陽会介護老人保健施設さくらの丘), 井口 知也, 山田 孝 Source:作業行動研究(0919-5300)23巻3-4号 Page100-108(2020.03) 論文種類:原著論文/症例報告 シソーラス用語:*運動療法; *作業療法; *認知症(合併症,診断,リハビリテーション); *動機付け; 日常生活活動; 社会的

「作業行動研究」という雑誌で認知症を扱った論文(原著のみ)のリスト

○山田孝・篠原和也・小林法一・會田玉美「認知症高齢者に作業を実施した実験群と機能訓練を実施した統制群への介入の有効性と安全性の検討 : ランダム化比較試験による中間解析」22(4): 147-155, 2019. ○菅澤延之・山田孝「認知機能低下者への意味のある作業支援の試み ~意志質問紙とQOL評価を用いて~」作業行動研究 22(2/3): 81-89, 2019. ○山田孝・篠原和也・小林法一・會田玉美「認知症高齢者に作業を実施した群と作業を実施しなかった群の比

認知症当事者本

引用・参考文献 井口高志 2020 「認知症社会の希望はいかにひらかれるのか ケア実践と本人の声をめぐる社会学的探究」晃洋書房  補論は、「認知症当事者本がひらくものー2017年の著作群を中心にー」と題し、認知症の人認人が執筆、あるいは周囲のサポーターが本人の意向をくみ取り代筆したような本が題材になっている。  補論で対象された書籍のリストを掲載しておきたい。 ○2004年のADIカンファレンス前後の本  ・クリスティーン・ボーデン、桧垣陽子(訳)2003「私は誰になって

認知症フレンドリー社会と認知症対処社会

引用・参考文献:徳田雄人2018「認知症フレンドリー社会」岩波新書 「認知症フレンドリー社会」は世界的に注目を集め、また日本では徳田氏が先導者となり提唱するもので、「認知症の人にとって使いやすい、認知症の人の視点にたった設計がされた社会」である。  それに対して、従来型の医療を中心とした専門家が主導する社会のことが「認知症対処社会」である。  本の中で、この2つの社会の違いについてわかりやすく表で対比して説明されているので紹介したい。  これを見ると、重要な点として、認知

認知症と失語症

引用・参考文献 https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/35/3/35_312/_pdf  認知症、特にアルツハイマー型認知症における失語症症状については、変性疾患における神経症状であるため、脳の部位と言語機能との対応関係が明確ではなく、様々な症状が現れる。  初期においては特に症状はみられないが、進行によって、喚語困難や意味的な会話が難しくなってくる。復唱は可能である。  進行すると、発話量は多いが内容語が少なく、情報量に乏しい

認知症の人の転倒によるADLを予防する新しい転倒予測スコア(みまもりスコア)

参考・引用文献:小室元2010「新しい転倒アセスメントスコア「三森スコア」の開発と検証.ここまでできる高齢者の転倒予防―これだけは知っておきたい基礎知識と実践プログラム―」武藤芳照総監.日本看護協会出版会p140 認知症高齢者は、神経症状をともなうため歩行やバランスの障害をきたしやすく、高次脳機能障害によってもその危険が増す。また、BPSDにより安全に配慮した行動が難しくなる面もある。BPSDの緩和のため向精神薬が用いられることもあり、さらに危険が増す。 以上から、転倒・