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【14歳 06月のアオハル 】

夏休み前の期末試験を控えてたけど、相変わらず煩い教室だった。(だって中学生だもん。)
体育の授業はこの時期お決まりの水泳。
丁度昼休み前なのでサボり。
まぁ、学校指定の水着が嫌で殆どが見学。
番長のクラスと合同で、番長のIMI君とUGZN君に保健室に誘われたけど、角川文庫を持って、校舎の壁で影が出来る中庭に逃げた。
【狼の怨歌/平井和正】幻魔大戦で平井和正にはまり、ウルフガイシリーズに流れてた。
僕のいた中庭は、2つある中庭の職員室とは反対側、印刷室や生徒の相談室、教師のロッカー室が近かった。
サボって、ココに来る生徒が多かったが、見つかる頻度は少なかった。
時間を忘れて本に没頭してると、窓を跨いで中庭に入ってきた教師がいた。
2年から国語の担当をしてるSG先生だった。
普通の教師だったら怒鳴り散らしてサボってた教室に戻すんだろうけど、この人と学年主任だったKRSは、違ってた。
KRSは、結構な武闘派で学生時代に援団だった為、声は潰れてるし、ガタイガ良かったから彼の前ではみな大人しかった。
SG先生は真逆というか、定年前に波風立てないよう・・・といった感じ。
去年サボってたとき、オヤジに与えられた【俺様の宝石さ/浮谷東次郎】を読んでた。そのとき、怒られるわけでも無く、淡々と話してた。
で、途中で自分のロッカーから、【夏草冬濤/井上靖】と書かれた本をくれた。
「お前、サボってるから知らないだろうが、こんど国語でやるしろばんばって、作品のその後の話だ。気が向いたら読んでおけ」
次の週には読み終わって、返しに行こうと思って職員室行ったら、しろばんば渡され、北の海渡され・・・ 夏目漱石の3部作と言われる『彼岸過迄』『行人』『こゝろ』を渡された。全て読み終わる頃には2学期の期末試験の季節だった。
二学期の通知表・・・ ナニもしてないのに国語があがってた。