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嫉妬

Casual Meets Shakespeare『OTHELLO SC』

観劇に行きました、2週間前に。
マチソワしている間にも感想書きたいなとは思っていて、早く書き出したかったのだけど仕事が忙しかった。と言い訳をしておく。そして、こう、noteを開いた訳だけど、感想を書けるほど記憶が鮮明かと言われると、だいぶ自信はない。まとまるか分からないけど、始めましょう。(毎度書き終えてから迷走していることに気づく。)

松崎史也さんのCMSはエーステを見始めてから知ったのだが、観劇する機会をいただくことは難しいのだろうと思っていたので、発表があった時に何が何でも行くという決意をしていた。結果、シリアスもコメディも1回ずつ観劇することはできたので大満足でした。
Shakespeare の オセローというお話を詳しく存じなかったので、まずは話を把握しておこうと新潮文庫の本をすぐに購入し、観劇前に2回読むことができた。なんなら2回目は、観劇当日の新幹線の中で読み準備は万端。

嫉妬って最高におもしろいな。
SCともにずっと口角が上がってしまうほど、人間って、嫉妬という醜いとされる感情って、おもしろい。この場合のおもしろいはinterestingのほうのおもしろいで、すすり泣く声が耳に届く中、内心ヒャッハーしていた。もちろん泣くところは泣いたのだけど。そして、嫉妬を調べた。
まず、嫉妬とは、「①自分よりすぐれた者をねたみそねむこと。 ②自分の愛する者の愛情が他に向くのをうらみ憎むこと。また、その感情。りんき。やきもち。(広辞苑)」とされている。①はイアーゴで②はオセローのそれだ。SCともに2つの意味の嫉妬が、交差し、深くなり、落ちていく。とてつもなく楽しい。

イアーゴの嫉妬

イアーゴはキャシオに嫉妬し、オセローに嫉妬し、地位に嫉妬した。
ウチクリさんのイアーゴは、他者に見せる顔と、独白の部分がまるで違う。いかにも企てていますよ、と。まぁ、ロダリーゴと「大作戦!」しているので、もろにそうなのだが、悪人という面が強く出ており、それがコメディの緩急となっていたのだろう。内容は把握していったけど、なんかちょっと難しいと感じるシェイクスピアなので、コメディとしてわかりやすい緩急とわかりやすい悪を見て、こちらから見てよかったなと思ったりもした。逆を経験できないので、シリアスから見てても分かったのだろうけど、それほどすんなり入ってきた。ほとんど笑ってたから記憶が無いけど、あんなに面白いのすごい、だってイアーゴなのにだよ。
田口さんのイアーゴは、彼の信ずる道を歩んでいった先の闇という感じ。彼も嫉妬という感情に囚われた一人の犠牲者のような。常に冷静に考え、自分の目指すものを掴み取ろうと進めていった、嫉妬という名の沼に浸かっていたけれど。こちらは表の時も、裏がこびりついてる。そして狂っていく。自分の最後がわかっていながら狂っていく。ロダリーゴを刺したとき、コメディは手段の一つだけど、シリアスはそれが正義であったかのように当たり前に思えるほど、彼の道だった。途中、その嫉妬で狂う自分を楽しんでいないか?悦に入っているだろ?とも思うほど、冷徹でクレバーで、彼の手のひらの上の物語だった。私は、支配人でしかお見掛けしていないが、ハムレット配信を見て静かにじりじり燃えていくような感じにとても期待をしていたので、田口イアーゴおもしろすぎた。

オセローの嫉妬

オセローの嫉妬は愛するデズデモウナに向けての嫉妬。
SCのオセローやる古谷さんって正気を保てていたのだろうか。と思うほど、コメディとシリアスで違うよな。
スゴ。
オセローはイアーゴの言葉によって、デズデモウナがキャシオーに愛を渡すかもしれないという想像と愛をもらえないという幻の自分に溺れ、それを埋めるのにさらに愛を欲するが供給路が絶たれ不足。現実はもう見えない、幻想のような世界が彼に取り付いていた。
コメディはまだ嫉妬だった。可愛らしい。周りに助けられながらここまで来たからこそのような、そしてイアーゴの言葉に惑わされた、可愛らしくて可哀そうな嫉妬。ではシリアスはどうだ。あれは、感情という枠なのか、それとも病気なのか。ICD10にもしっかり分類されている妄想性障害ではないのか。そう思えるくらい段々と狂っていった。診断的には少し情報が足りないが。(原作もこちらよりだよな。)その様を肉体を通してみると痛々しい。この場合はオセロー自身の出生歴とか、ムーア人であるということが絡んでくるように思える。ムーアであるから、人からの愛のない扱いを受けて育ち、一人で立っていた。そこにデズデモウナの愛を知るが、それを揺さぶられ弱さに付け込まれて壊れていったという感じ。その段階を追って狂っていくオセローが良くて良くて、最後のベッドでのシーンは彼にとっての救いだった。そして、狂っていく中にはずっと純な気持ちもある気がした。それが大和さんの芯がある感じと被るのだろうかと思ったり。単純に大和さんスゲー。

裏表

赤澤さんの道化出てくると空気変わりましたね。
恐らく多くの人が思うだろうが、嘘と実?で目と口を手のひらで覆うのが、好き。彼はオセローが終わった世界を知っていて、その場面にいるような。そこだけ空気が違うようなそんな感じがした。浮いてる?足ある?でも馴染んでいる?シリアスだとより異質な存在なんだけど、最後語りとして立つときには、これを求めていたみたいな気持ちが出てきてびっくりした気がする。自分でも何言ってるのかわからないや。

感想とは?

感想書けたか?そういや感想ってなんだっけ。自分が感じてどう気持ちが動いたか、だっけ。そうとするなら、嫉妬と人間のおもしろさにわくわくしたというのがそれだろうか。人間だれしも持つ嫉妬。当たり前の感情。それを利用し、惑わされ、足元を掬われ、壊れた話。こんな感情面倒くさいから嫌いだったけど、少し自分に余裕ができ、仕事で人間の感情に関わることが増えていたから、面白く興味深いものだったのだろう。シェイクスピアの他の作品を読んだことはあるけど、今、もう一度読んでみたいなと思えた。そして、CMSの円盤は買えるだけ買ったので早いとこ見ようかな。あ、エミリアすき!シリアスもコメディも好き!両方、第一声から「うわ、好き」だった。早く円盤で見返したい。ほかのキャストさんも、衣装もセットも観てよかった~となるほど楽しかった。円盤届くのまだでしょうか。今年イギリスへ行けたら行くので(それは果たして実行する言い回しなのか)ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー行ってみたいな。OTHELLO SC観劇しなかったら選択肢に上がらなかったかもしれない。松崎史也さん、いや、松崎史也さま、ありがとうございます。


(”演劇”に絡めたセリフの考察とかできたらいいけど記憶なさすぎる。セットのオセローの使い方とか気になるし、演出の意味を半分も受け取れてない気がしてる。書き終わると的外れな気もするが、まぁいい。)


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