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備忘録9:胃の薬

【登録販売者資格の勉強備忘録:胃腸に作用する薬】

1⃣胃の不調

胃の働きに異常が生じる>胃液の分泌量増減/食道への胃液逆流/胃の保護や運動が低下>胸やけ、胃の不快感、消化不良、胃もたれなど
*食べ過ぎにより胃内容物を処理する働きが追い付かない場合も不調を感じる
(吐き気・嘔吐)延髄にある嘔吐中枢の働きによって起こる。
*消化管での刺激が副交感神経系を通じて嘔吐中枢を刺激>胃の痙攣での吐き気
*内耳の前庭にある平衡器官の不調
*大脳皮質の興奮による刺激
*延髄にある受容体が薬物などで直接刺激

2⃣胃の薬の働き

制酸薬:胃酸過多やそれに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐き気等の症状緩和
(胃酸の働きを弱める成分・胃液の分泌を抑える成分)
健胃薬:弱った胃の働きを高めること
(唾液や胃液の分泌を促し胃の働きを活発にする生薬成分が主体)
消化薬:胃や腸の内容物の消化を助けることを目的とする医薬品

≪総合胃腸薬≫
制酸、胃粘膜保護、健胃、消化、整腸、鎮痛鎮痙、消泡などの作用を目的とする成分を組み合わせた医薬品
消化不良、胃痛、胸やけなど症状がはっきりしている場合はその症状に会った成分のみが配合された製品を選択するのが望ましい

≪医薬部外品≫
人体に対する作用が緩和なものとして配合される成分やその上限量が定められている。効能・効果の範囲も限定された製品(コンビニの二日酔い用ソルマックとか?)

3⃣主な配合成分

  • 制酸成分
    >中和反応によって胃酸の働きを弱めることを目的
     ナトリウムを含む成分:炭酸水素ナトリウム(重曹)
     アルミニウムを含む成分:乾燥水酸化アルミニウムゲル、
                ジヒドロキシアルミニウムモノアセテート
     マグネシウムを含む成分:ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム
               炭酸マグネシウム
     アルミニウムとマグネシウムを含む成分:合成ヒドロタルサイト
               メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
     カルシウムを含む成分:沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム
     制酸成分と同様の作用の生薬成分:ボレイ(牡蛎)
    ≪制酸成分の適正使用情報≫
    *メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは胃酸の中和作用のほか、胃粘膜にゼラチン状の皮膜つくって保護する作用もある
    *炭酸飲料と一緒に飲んではいけない(中和作用の低下)
    *アルミニウムを含む成分は透析療法を受けてる人の使用を避ける
    (長期連用によるアルミニウム脳症やアルミニウム骨症の報告あり)
    *アルミニウムを含む成分は透析治療を受けてない人でも長期連用は避ける
    *腎臓病の診断を受けた人は制酸薬を使用する前に医師・薬剤師への相談
    *制酸成分はほかの医薬品にも配合されていることが多いので同種の無機塩類を含む医薬品に注意する(高カルシウム血症や高マグネシウム血症を生じる恐れ)
    *カルシウム、アルミニウムの成分は止瀉薬に配合される成分でもあるので便秘に注意
    *マグネシウムを含む成分はしゃげやくに配合される成分なので下痢症状に注意

  • 健胃成分
    >味覚や嗅覚を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促し、胃の働きを高める
    ≪健胃成分の適正使用情報≫
    *健胃成分として生薬成分が配合されている場合、散剤をオブラートで包む服用方法は適当でない(味や香りが遮断されるので)
    【生薬の健胃成分】
    オウバク(黄柏):みかん科の樹皮/健胃、止瀉、収斂、抗菌、抗炎症、
             血行促進、打ち身、捻挫
    オウレン(黄連):キンポウゲ科の根茎/健胃、止瀉、収斂、抗菌、
             抗炎症
    センブリ(千振):リンドウ科のセンブリ全草/苦味による健胃
    ゲンチアナ:リンドウ科の根、および根茎/苦味による健胃
    リュウタン:リンドウ科の根、および根茎/苦味による健胃
    ユウタン(熊胆):クマ科の胆汁/苦味による健胃、消化補助
    コウボク(厚朴):モクレン科の樹皮:香りによる健胃
    ショウキョウ(生姜):ショウガ科の根茎/香りによる健胃・発汗
    チンピ(陳皮):ミカン科の成熟した果皮/香りによる健胃
    ソウジュツ:キク科の根茎/香りによる健胃
    ビャクジュツ:キク科のオケラの根茎/香りによる健胃
    オウゴン:シソ科コガネバナの周皮をのぞいた根/香り健胃・抗炎症
    ≪生薬以外の健胃成分≫
    乾燥酵母:胃腸の働きに必要な栄養素を補給することにより胃の働きを高める
    カルニチン塩化物:胃液分泌を促す、胃の運動を高める、胃壁の循環血流を増やす

  • 消化成分
    >炭水化物、脂質、タンパク質、繊維質などの分解に働く酵素を補う事を目的
    酵素:ジアスターゼ、プロザイム、ニューラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ
    複合酵素:ビオジアスターゼ、タカヂアスターゼ
    利胆成分:ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸
     *胆汁の分泌を促す成分。消化を助ける効果を期待
    利胆成分と同様作用の生薬成分:ユウタン(熊胆)動物胆、胆汁末
    ≪利胆成分の適正使用情報≫
    *肝臓病の診断を受けた人は使用前に担当医師、薬剤師に相談
    (肝臓の働きを高める作用もあるが、かえって症状を悪化させることもあるため)

  • 胃粘膜保護・修復成分
    >胃粘液の分泌を促す、胃粘膜を覆って胃液による消化から保護、荒れた胃粘膜の修復を促すなどの作用が期待される
     アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)
     アルジオキサ、スクラルファート、ゲファルナート、ソファルコン、
     テプレノン、セトラキサート塩酸塩、トロキシピド、
     銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム
     メチルメチオニンスルホニウムクロライド
     (胃粘膜保護・修復成分と動作用の生薬成分)
     アカメガシワ:トウダイグサ科アカメガシワの樹皮>胃粘膜保護
    ≪胃粘膜保護・修復成分の適正使用情報≫
    *アルジオキサ、スクラルファートは透析を受けてる人への使用を避ける
    *アルジオキサ、スクラルファートは透析治療患者以外でも長期連用は避ける
    *腎臓病の診断を受けた人はアルジオキサ、スクラルファートを使用する前に担当医や調剤を行った薬剤師に相談
    *肝臓病の診断を受けた人はソファルコン、テプレノンを使用前に担当医または調剤を行った薬剤師に相談
    *テプレノンは腹部膨満感、吐き気、腹痛、頭痛、皮下出血、便秘、下痢、口渇の副作用を生じる
    *血栓のある人・血栓を起こす恐れのある人はセトラキサート塩酸塩を使用前に担当医または調剤を行った薬剤師に相談
    (セトラキサート塩酸塩が体内で退社されるとトラネキサム酸を生じ、血栓が分解されにくくなることが考えられるため)

  • 抗炎症成分
    >胃粘膜の炎症を和らげる
     グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム
     グリチルリチン酸モノアンモニウム
     (グリチルリチン酸と同様作用の生薬成分)
     カンゾウ(肝臓)

  • 消泡成分
    >消化管内容物中に発生背板気泡の分離を促す
     ジメルポリシロキサン(ジメチコン)
    +泡の張力を弱め泡をはじけさせる作用+

  • 胃液分泌抑制成分
    >副交感神経の伝達部質であるアセチルコリンの働きを抑えることで胃液の分泌を抑える作用を期待して用いられる
     ロートエキス(ロートコンの抽出物)、ピレンゼピン塩酸塩
    *アセチルコリンのほか、ヒスタミンも胃液分泌に関与する伝達部質の一つ。胃液分泌を抑制することを目的としてヒスタミンの働きを抑える成分が配合されたH2ブロッカーと呼ばれる製品群もあります。

    ≪胃液分泌抑制成分の適正使用情報≫
    *胃腸鎮痛鎮痙薬、乗り物酔い防止薬との併用を避ける
    *ピレンゼピン塩酸塩は消化管の運動にはっほとんど影響を与えずにに胃液の分泌を抑える作用を示す
    *ピレンゼピン塩酸塩の副作用には、排尿困難、動悸、目のかすみなどがある(抗コリン作用)
    *排尿困難、緑内障の診断を受けた人は、担当医または調剤を行った薬剤師に相談
    *使用後は車の運転など控える
    *まれに重篤な副作用としてアナフィラキシーを生じる

  • 漢方処方製剤
    *安中散:胃の不調(カンゾウ)体力中程度以下・長期服用あり
    *人参湯:胃の不調(カンゾウ)体力虚弱・疲れやすい 別名:理中丸
    *平胃散:胃の不調(カンゾウ)体力中程度・胃もたれあり 急性胃炎に5~6回使用しても症状改善無い場合は継続せず相談
    *六君子湯:胃の不調(カンゾウ)体力中程度以下・胃腸が弱い
     【重副】肝機能障害 長期間服用されることあり

4⃣受診勧奨

一般用医薬品の胃薬(制酸薬・健胃薬・消化薬)は一時的な胃の不調を緩和する目的で使用されるもの
制酸薬は胃内容物の刺激によって分泌促進されている胃液から胃粘膜を保護することを目的として食前または食間に服用するものが多い
以下のような場合は医療機関を受診するなどの対応が必要
*慢性的な胸やけや胃部不快感、胃部膨満感などの症状が現れる場合。
*医薬品を服用すると治まるがやめると症状がぶり返して医薬品が手放せない場合。
*嘔吐に発熱、下痢、めまいや興奮を伴う場合
*胃の中に吐くものがないのに吐き気が治まらない場合
*乳幼児や高齢者で嘔吐が激しい場合(脱水症状や嘔吐物が気管にはいり呼吸困難を生じる恐れあり)

5⃣胃の薬の服用方法

胃の薬を選択する場合は胃の症状のひどい時間を確認すること
①消化を助け胃もたれを改善し胃をすっきりさせるもの>食後服用が多い
②空腹時や就寝時の胸やけ、ストレスによる胃酸過多>食間や就寝前
③上記どちらの効果も有するもの>食後または食間の服用支持多い

なお医療機関で処方された医療用医薬品を服用している場合は副作用による胃の不快感を防止するために胃の薬も処方されていることがあるので、販売時には胃の薬が処方されていないか確認する


+++++今日のひとこと+++++
逆流性食道炎の治療中。今飲んでるタケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩)は医療用医薬品だよ。


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