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『あと9日』足りない。

今日は成人式だったはずなのに着物姿の若者を見かけなかったのは
私が眠気と戦っていて視野は狭かったからだろうか。
成人式が来るたび、自分はどんな成人式だっただろうと思い出す。

横浜市民だった為、成人式は横浜アリーナ。
でも横浜市民は参加者が多すぎるので式がゆるい。
借りた着物で高校の同級生とアリーナへ向かったがもう式は始まっていた。
アリーナのアリーナでは静かに式は行われているが、二階席以上の若者たちは式に参加しながらも自分たちの話題で盛り上がる。
「あれ、成人式ってこんな感じなの?」と正直思った。

入るのも大変だったが帰るのも大変。
まるでアーティストのライブに行ったような混雑。
それだけで疲れ果て、横浜駅で並んでゲームセンターでプリクラを着物で撮り
一旦、家に帰って私服に着替えてから居酒屋で堂々とお酒を飲もうと言う話になった。そう、これからは堂々と居酒屋に行けるのだ。
しかし、私には少しの心配があった。

それは私がまだ19歳だったから。
誕生日が1月24日の為、成人式に参加したものの未成年の為、まだお酒を飲んではいけないことになっていた。
みんなこれから居酒屋に行くのを楽しみにしている。
「白木屋にする?笑笑にする?」そんな会話が飛び交ってる中、勇気を出して友達に伝えた。

「私、まだ誕生日きてないんだけど大丈夫かなぁ?」

過去にも未成年でも居酒屋には行っていたが、今日は何故か胸騒ぎがした。
今日に限って年齢確認とかされて、入店拒否されたらめちゃめちゃ空気壊れるやん。

友達は「大丈夫っしょ!!心配ならなんかのカードに偽装した生年月日書いて、それ見せれば良くない?」と提案をしてくれた。
まだマイナンバーもなく、免許証などの身分証明書を持ってなかったので、自分の財布に入ってるポイントカードの生年月日を偽装しようと言う話に進んだ。
年齢確認をされたらこのポイントカードを見せればいいんだ。
これでせっかくの成人式のお祝い飲みも大丈夫!!

そして私たちは居酒屋に向かった。
案の定、横浜には成人式を終えた若者で溢れかえっていたので
店員に年齢確認を要求された。
私はきたきた!と思い、当たり前のように「身分証明持ってないっすけど、ポイントカードには生年月日書いてあるんでそれ見せますね。」と得意げに見せようした。
すると「ちゃんとした身分証明書じゃないと認められません。一人でも未成年がいる場合はうちは入れられません。」と呆気なく断られてしまった。

私一人のせいで居酒屋に入れなかったのだ。
そのあとのことはあまり覚えていない。
どこのご飯屋さんに入ったかも覚えてないくらい、空気を乱した自分を恥じていた。

あの頃は1月15日が成人式だったから、二十歳になるまでにあと9日が足りなかった。あの時ほど、自分が早生まれだったことを後悔したことはない。

今思えば、ポイントカードの手書きの生年月日で店員を騙せると思ったのか?
そんな小細工で簡単に成人と認められると思ったのか?
成人式を迎えた私はまだまだ幼稚な考えだった。

二十歳の頃は歌手になりたいと思い、バンドをやったりもしたけれど
年上のバンドメンバーと性格が合わず揉めて二十歳にはバンドも辞めていた。

でもこのままの自分ではいけないと思っていたのは覚えてる。
ある意味、音楽というよりも人間としてこのままではいけないなと。
何の経験のない芋娘であることは自覚していた。

そして誕生日を迎え二十歳になってからは、堂々と居酒屋解禁となったことで飲み会に参加するようになった。今よりもコミュ障だった自分が自分の殻を破るために、良く参加して頑張っていたなと思う。

不思議なことに二十歳の頃の縁が今でも続いていたりする。
あの時の私の黒歴史のような日々が10年以上経った今を繋いでくれて、私はそれにものすごく生かされている。

人生、どこで何が繋がるか分からないよね。
予測できないから面白いんだし生きがいがある。

と、言い聞かせている。

人生、面白いし生きがいがあるはず・・・。

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