北の魔女のボタニカルキャンドル【短編小説】
こちらの世界の北の果ては
いつも氷に閉ざされて
それはそれは寂しいものでした。
その奥地にあるお城には
それはそれは美しい魔女が住んでいて
その姿を見たものは誰もが
心を奪われるという。
そんな魔女とろうそくの話。
Ⅰその昔。
北のずっと奥にある森に一人で住んでいた魔女は
お城の周りにある広い森に生い茂る
貴重な植物を摘みに行くのが楽しみでした。
そうして、誰にもその植物が奪われないように
永遠に朽ちることのない魔法をかけて
氷の部屋の中にしまっておくのでした。