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統計学を活用してリードのスコアリング設計を行う。

リード・商談獲得支援のマーケティングツールを提供するSmartApproachです。今回は、マーケティング領域の中でもSmartApproachが注力しているナーチャリング(育成)でリードの状態を正しく評価するためのスコアリング、スコア設計についてまとめています。

なぜ必要なのか?

スコアリングとは、便宜上、リードそれぞれにスコアを設定し、例えば100点満点だとすると、90点のリードは成約に近く、10点のリードは全然エンゲージメントしていないと言った具合にリードの状態を定量的に把握できる用にする手法です。
CRM/MAツールには、スコア機能が入っていることが多く、項目ごとに重みづけ(この項目が●●ならプラス●点みたいな)をしてスコア設計をすることができます。
リード数が増えてきて、以前よりも精緻にリードの状態をセグメントできるようになってきた場合は、有望リード(ホットリード)の条件を定義し、可視化することで共通認識化や施策への活用がしやすくなります。

スコア設計は、統計学を用いて行わないと、なんとなく項目にプラス●点のような使い方をしていると、精度が一向によくなりません。また、統計学ですので、ある程度のサンプルが必要になります。例えば、成約金額を結果に設定する場合は、最低でも成約が100件以上は出ている必要があります。

何をするのか?

ここでは、顧客のステータスを設定できるCRMツールやWebトラッキングができるMAツールを活用する方法を紹介しています。
この施策では、CRM/MAツール内の顧客データを多変量解析の一つである重回帰分析(複数の量的な説明変数から、一つの目的変数を予測する手法)を用いてスコアリングします。

①目的変数と説明変数の設定

目的変数は、結果の部分になります。例えば、どういう状態のリードが大きな成約金額(売上)につながりやすいのかを基にスコア設計をする場合は、成約金額を目的変数にすると良いです。成約金額の大小よりも成約するかしないか、商談化するかしないかをスコア設計する場合は、目的変数がする・しないの2択だと難しいので、成約・商談化のする・しないが判明までにかかった時間などを基に10段階に分けるなどして目的変数とする必要があります。
また、説明変数は、目的変数(成約金額)に寄与していると考えられる項目を複数選択します。数値になっている項目であれば、そのまま使用できますが、選択肢や2択になっている項目は選択肢ごとに点数をつける必要があります。

②重回帰分析に使用するデータの作成

今回は、簡単かつお金のかからないスプレッドシートのアドオンであるXLMiner Analysis ToolPakを利用してシミュレーションを行います。

サンプルデータとして、商談化率を目的変数に設定し、メール開封数、コンテンツ閲覧数、流入経路、従業員数を説明変数に設定した場合で説明します。

サンプルデータ

サンプルデータを指定してXLMiner Analysis ToolPakを回すと、以下のような結果が得られます。特に重要な指標は、R Square(重決定係数)でこの数値が1に近いほど目的変数と説明変数の間に相関関係があることになります。変数が増えるほど難易度は上がりますので、0.6を超えるように設計すると良いです。(0.568だともう一歩ですね)

重回帰分析はX1~4を説明変数、Yを目的変数とすると、Y=aX1+bX2+cX3+dX4+eという式で表すことができます。このとき、Coefficientsの列に入っている値が、それぞれの説明変数の係数(a~d)とintercept(切片)(e)になります。また、t Statがそれぞれの説明変数が目的変数に与える影響度を指しており、今回のサンプルデータで言うと、流入経路の影響度が最も大きく、コンテンツ閲覧数はほとんど影響がないことがわかります。(t Statが2以下だとほとんど影響がないと言えます)

重回帰分析の結果①
重回帰分析の結果②
重回帰分析の結果③
用語の説明

③回帰式の改善を繰り返し、スコアリングに設定

t Statの値が低い変数はほとんど影響がないため、他の変数に入れ替えるなどして少しでも決定係数が1に近づくよう改善を行います。回帰式が完成したら、CRM内のスコアリング機能で設定を行います。(ツールのスコアリング機能によっては、CRM内での設定が難しい場合があります。その場合は、スプレッドシート等で計算を行いスコア結果をCRMに戻すやり方がございます)
また、スコアの大小と実際の結果に相関関係があるかを定期的にチェックすることも重要です。

まとめ

CRMツールやMAツールを使うと、統計学も組み合わせて上記のようにリードのスコアリングを簡単に実現できます。スコアリングに興味がある、前になんとなく設計してみたけど効果が出なかったという場合はぜひ試してみてください。
SmartApproachは、データ分析によってリード、商談獲得を支援するツールです。具体的な設定や運用方法でお困りの場合は、ぜひご相談ください。


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