見出し画像

土地を継ぐ家⑩ 建物の燃費

住宅を考えるとき、(住宅だけではないですが)その家がどれくらいエネルギーを生み出して、どのくらいエネルギーを使うのか、それを考えることがとても大切である。日本はエネルギーの原料を輸入に頼っている部分が多く、エネルギーコストは高くなっており、、エネルギーを使い続けることは出来ない状況にある。どれだけエネルギーを使うかを「燃費」として考える。


エネルギーを抑える

この家の場合、使うエネルギーを抑えるためにまず小さな家を目指している。小さな空間であれば空調や照明に使うエネルギーは小さくなる、小さくても十分に住める家を考えることはエネルギーを考える上でも大原則になる。最低限の家はどんな家かそれをとことん考えることは省エネルギーへの第一歩だ。
次にエネルギーを使う負荷を減らす。まず断熱だ。この家の断熱能力は UA値で0.32W/m2・K、これは断熱等級で6というクラスになる。断熱性能は高ければ高いほどいいが、コストがどんどん高くなるので、ここでは等級6と等級7の間ぐらいの設定にしている。
エネルギーを抑える方法として他にも色々なことが考えられる。もちろん、照明や空調を使わなければ使うエネルギーは少なくなる。そういうことではなく、快適に住みながら使うエネルギーを抑えるにはどうすればいいのか。エネルギー効率のよい設備を入れることは候補の一つである。例えば全熱交換器という外気の温度をそのまま入れずに換気する方式の設備を入れると空調で使うエネルギーは少なくなる。しかし、そのためには初期費用とランニングコストがかかる。そのため、こんかいは全熱交換器の採用は無しとしている。こうした設備は色々と考えられる。

エネルギーを生み出す

建物で使うエネルギーは買ってくることもできるが生み出すこともできる。この家で採用しているのは太陽光発電だ。
この家で悩んだのは瓦屋根とソーラーパネルの共存である。エネルギーを生み出せる家にしたいのだが、集落の景観を考えると瓦屋根の採用も外せない、この2つをどう実現するかが課題だった。結果としては瓦屋根とエネルギーを生む屋根を別々に付けるようなデザインに落ち着いた。
屋根の範囲の関係でソーラーパネルの容量は2.5kWとしている。本音ではさらに載せたい気持ちがあったのだが、屋根の大きさのデザインとコストとのバランスを取ってこの範囲とした。
太陽光発電によるエネルギーを有効に使うことも大切になる、家で最もエネルギーを使うのは「給湯」である。この家では昼間に太陽光から作り出すエネルギーを給湯に使えるような設備を採用する。

省エネの目的

なぜ建物を省エネにするのか。動機は1つではないかもしれない。まず、お得だからである。電気代が上がっている昨今であり、今後さらに上がるかもしれない。家で使うエネルギーを抑えることは長い目で見ると得になる。
建物で使うエネルギーを少なくすることで幸せを感じるようにしていく方がいい。生活しているとエネルギーへの意識が薄れていくこともあると思う。けれど、省エネを幸福の価値観に変えていく、そんな時代が来てほしいと思う。
地球環境の保全という観点も大切になる。将来世代に地球環境をきちんと渡していく、そのためにどんどんとエネルギーを使う生活は避けないといけない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?