見出し画像

抜け殻

弱い日差し
肌を指す寒波
乱舞する落ち葉
虫さえもいない公園

それを眺める空っぽの僕
いつからここに居たのか
なぜここに来たのか
何もわからない

気が付いたら
以前家族で来たこの場所に
辿り着いていた

冬にも関わらず
汗だくになり
父と駆け回った
芝生の絨毯

疲れ果て
乾いた喉を
潤す僕に
優しく微笑む
母の顔

亡き家族に想いを馳せ
僕はそっと瞼を閉じた
何か温かいものが
目から溢れ
頬を伝い
顎先から零れ落ちた

僕は鼻を啜り
掌で涙を拭った
そしてポケットに突っ込んだ
思い出と共に
公園の出口へと
歩き始めた。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?