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すぐには役に立たないけれど、大切なもの

 私立文系はインターネット上でしばしば馬鹿にされるので腹が立って、「ちくしょう! じゅあ僕は逆に歴史の勉強しちゃうもんね! 文系をとことん極めてやる!」と思い、世界史と日本史の勉強を始めました。それがもう2年くらい前の話になります。今は2周目の『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』を読んでいます。

 しかし僕はどうやらあまり頭が良くないらしく、「一度読んだら絶対に忘れない」なんてことはなく、半分以上忘れてしまいました。2周目でも「絶対に忘れない」ことは不可能だと思います。でもいいんです。歴史の勉強はライフワークとしてやっていくつもりだから。30年後くらいには大学入学共通テストで満点を取りたいです。

 ちなみに僕が受験生のときは理系だったから、世界史と日本史は1ミリも勉強していませんでした。ひょんなことから文学部に入ったため、めでたく私立文系の男になりました。のちに「私立文系」ということでインターネットでこんなにも馬鹿にされるとは全く思っていませんでした。馬鹿にされ過ぎてむかつくから、歴史や文学の勉強をこれからもたくさんして、人間的に深みのある「私立文系」の男になりたいです。

 『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』は、基本的に年号が出てこない本です。歴史の出来事の流れに重点を置いています。しかも極めて平易な文章で書かれているため、歴史の流れに自然と乗ることができます。さすがに一度読んだだけでは覚えられないけれど(このタイトルは盛り過ぎだと思う)、歴史の流れは普通の教科書よりも格段と記憶に残りやすいです。歴史を初めて学ぶという人にとてもおすすめの本です。みなさんも僕と一緒に歴男れきお・歴女になりましょう。

 そして先日、大宮のとあるメイドカフェに行ってJKのメイドさんと話していたところ、勉強についての話題になりました。メイドさんは言います、「歴史の勉強って意味なくないですか? 過去のことなんだから。今と未来のほうが大事じゃないですか?」と。僕は「歴史を学ばなければ、人間は同じ過ちを繰り返してしまうから、歴史の勉強は大事だと思うよ」という言葉が口から出そうになったけど、説教くさくなりそうなので言いませんでした。言わなかったけれども、僕はやはり思います。「人間はアホだから、歴史を学ばなければ何度でも同じ過ちを犯してしまうだろう」と。「歴史を学ばないというのは、一人の人間が過去の失敗から何も学ばないのと同じこと。そこに成長はないし、明るい未来もありえない」と。

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 また、2022年3月28日にフジテレビで放送された『ドクターホワイト 特別編』で、浜辺美波はまべみなみちゃん演じる医学部の受験生が、「英語を覚えれば外国の人と話せますが、古文や漢文を勉強しても昔の人とは話せません。もう誰も使わない言葉です」と言っていました。僕はそのことにも大きな違和感を覚えました。彼女の周りにいた医師たちも「そのとおりなんだけど…」と同意していたので、そこは大人としてきちんと反論してほしかったです。僕はこう思います。「古文を勉強すれば、確かに直接は過去の人と話せないけれど、古文を読むことによって対話のようなものをすることはできる。それはとても意味のあることではないだろうか」と。

 ちなみに僕は大学受験生のとき、『マドンナ古文』という参考書を3周くらい勉強しました。受験生なら誰でも知っている名著です。歴史の勉強が一段落いちだんらくしたら、またじっくり読みたいなと思います。そして多くの古文に触れて、ずっと昔の人たちがどんなことを感じ、考えながら日々を生きていたかを知りたい。

 歴史の勉強も、古文の勉強も、すぐに人生に役立つわけではありません。生産性はほとんどありません。しかしながら、過去における人間の歩みを見つめたり、何百年も昔に生きた人間とじっくり対話のようなものをすることによって、人間としての深みは少しずつだけれど確実に増してくると思います。僕の好きな小説家である村上春樹さんは、『村上さんのところ』という本の69ページで「生産性の低いものって、けっこう必要なんですよね。生産性の高いものばかり追求していると、人間がだんだん薄くなります」と述べています。

 僕もそう思います。一見無駄だと思えるようなことが、のちのちじわじわと役に立ってくるということはあります。効率や生産性ばかり重視していると、何か大切なものまで切り捨てることになるような気がしてなりません。僕はこれからも、どれだけインターネットで「私立文系」と馬鹿にされようと、文系の勉強を続けていくつもりです。すぐには役に立たない、無駄に見えるようなものの中にこそ、本当に大切な何かがあると確信しているので。

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