見出し画像

ガールズバー事件

 11月某日、とある場末の小さな居酒屋で酒を飲んでいたら、近くのおじさんがノーマスクで「俺、ワクチンたないよ」とかたくなに主張していたので、不安な気持ちになりました。そのお店はきわめて密だったから、「さすがに感染リスクが高すぎる!」と不安な気持ちになりました。また、となりの席のお姉さんが、僕と話しているうちに僕のものまねをしました。その様子がまるでアホの子のようだったので、「僕ってもしかして馬鹿にされてるのかな?」と思ったけれど、楽しい酒の席だから怒ることはしませんでした。

 その店で午前3時ごろまで飲んで、男性の常連さん2人と僕とで2次会に行く雰囲気になりました。2人はキャバクラに行くようなことを言っていたので、僕は「下手にキャバクラ行くより、ガールズアニソンバーもふるに行ったほうが安いし楽しめるだろう」と考え、もふるに行くことを提案しました。すると50代くらいのおじさんのA氏が「お前のプレゼンはぜんぜんなってない!」と言うから、「え? プレゼン? これはプライベートの飲み会であって、仕事ではないんですけど。どうして仕事でもないのにきちんとプレゼンしなきゃならないんですか?」と思ったけど、楽しい飲み会にしたかったのでその言葉は飲み込みました。20代半ばくらいのお兄さんのB氏が、A氏のプレッシャーを受けながらタクシーをつかまえて、3人で大宮駅東口まで行きました。するとA氏がタクシー代を払ってくれたので嬉しかったです。

 我々3人はガールズアニソンバーもふるに入店し、酒を飲み始めました。すると、最年長のA氏が僕のほうを向いて、「それで、君はどうやって俺を楽しませてくれるの?」と言うのでびっくりしました。困惑しながらも、僕は「ここはガールズバーなので、目の前の女の子との会話を楽しんでください」と答えました。どうして僕がA氏を接待する立場に立たされているのか分からなかったし、ガールズバーに来て男に接待を求める理由も理解できなかったです。居酒屋やバーという場所は、年齢や仕事に関係なく、対等の立場で話をできるところが魅力だと思っていたから、年齢や仕事で上下関係をつくろうとするA氏の言動を見て興ざめしてしまいました。

 アニソンバーなのでガンダムの話になり、「僕はニューガンダムが好きです」と言うと、A氏は「小説版も読んでないんだろ? そんな人間がニューガンダム好きを名乗るなよ!」と怒るので、「どうして何かを好きになるのにあなたの許可がいるんですか?」と思って、口論になりそうになりました。僕のとなりにいた穏やかな性格の常連さんが、困った顔で「楽しく飲みましょうよ~」と我々をなだめました。

 さらにA氏は、ガールズバーの女の子にも偉そうな態度をとりました。11月中に店を辞めるという女の子に対し、「なんだ、半年しか働いてないのかよ!」とケチをつけました。僕は彼女がお客さんをとても大事にしながら一生懸命働いていたのを知っていたから、何も知らずにケチをつけるA氏のことをぶん殴ってやろうかと思ったけど、楽しい飲み会にしたかったので思いとどまりました。ガールズバーは入れ替わりが激しいから、半年も勤めていたら長いほうです。偉い人にはそれがわからんのです。A氏はさんざん偉そうな態度をとっていたから、そのぶんお金は多く払うのかな、と思ったけど、けっきょくお会計のときA氏は一番少ない額を支払いました。「さんざん年長者として偉そうな顔してたのにおごってくれないのかよ!」と思いました。

 ガールズアニソンバーもふるを出たあと、A氏は「次はどこに行くの? なんだよ。次行くところ決まってないのかよ!」と文句を言ったので、「そんなめちゃくちゃな!」と思いました。午前5時まで飲んで、その後のことなんて計画してあるわけがありません。男性特有の威圧感のある、仕事のできる人間だからと言って、周りのみんながヘコヘコしているから、こういう思い上がった人間が爆誕するのだと思います。そして僕も終始ヘコヘコしていたから、その一端を担ってしまいました。

 さすがにもう帰ることになり、3人でタクシーに乗って家に向かいました。タクシー代はA氏が持ってくれました。A氏の良い点は、タクシー代を払ってくれた所くらいしかありません。仕事はできるのかもしれないけど、人間としては最低だと思います。もう二度と会いたくないです。

お忙しいところ、最後まで読んでくださってありがとうございます。もし「いいね!」と思ったら、愛の手を差し伸べて頂けるととても嬉しいです。noteやYouTubeの製作費に使わせていただきます。