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場末の居酒屋で初対面の客と、ガチ恋のことで口論になった話

 僕はいま埼玉県さいたま市に住んでいて、大宮駅の近くでよく酒を飲んでいるのですが、大宮駅から少し歩いたところにこじんまりとした個人経営の居酒屋があります。

 その居酒屋のママさんは、巨乳でとても愛嬌があるので、僕はけっこう好きです。肝っ玉きもったま母さんといった感じです。そんなママさんに酔った勢いでお酒をおごって乾杯し、「そのポニーテール可愛いですねえ!」などと褒めそやしていたら、ママさんの隣にいる強面こわもてのマスターに軽く怒られたことがあります。「たしかに、自分の妻が若い男に褒めそやされていたら、良い気分はしないだろうな」と思い、深く反省しました。それからはママさんに「可愛いですねえ!」などの言葉を発することはしていません。マスターとの関係も少しずつ改善され、僕の恋愛について親身なアドバイスをしてくれたりするようになりました。

 そんなある日、僕が深夜に1人でカウンターの一番奥の席に座って酒を飲んでいると、2人連れのサラリーマンが僕の隣に座りました。この店にはカウンター席しかなくて、となりの席との距離も近いため、自然と会話が発生します。僕はママさんに「田中くん(僕の本名は田中太志と申します)はアイドルが好きなんだよ!」と紹介されたこともあり、隣のサラリーマン2人に梨華ちゃんとの2ショット写真を見せながら、「僕は石川梨華ちゃんに本気で恋をしているんです」と告白しました(当時まだ梨華ちゃんは独身でした)。すると彼らは声をそろえるように、「本当に? あの石川梨華と結婚したいの?」と言います。僕は真面目に「はい。結婚したいと思っています」と答えました。

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 それから押し問答が始まり、短く見積もっても30分以上つづきました。彼らが「君が石川梨華と結婚するなんて絶対に無理だよ。可能性は0%だよ」と主張すると、僕は「可能性が0%なんてことは理論上ありえませんよ。0.001%くらいはありますよ。だから僕は梨華ちゃんとの結婚を諦めませんよ」と反論しました。ガチ恋に関する議論はしだいに口論へと変化していき、僕は確率を0.00001%まで譲歩しましたが、相手2人はそれでも0%を主張します。このままだとお互いに手を出すことになってしまいそうだ。そう思った僕は、「まあ、そういう考え方もあるかもしれませんね」みたいなことを言って話題を変え、事なきを得ました。

 そんな激しい口論がありつつも、僕ら3人は閉店時間まで肩を並べて一緒に飲み、会計をすませて同時に店を出ました。すると2人のサラリーマンは「さっきはすまなかった。また一緒に飲もう」と言って僕のほうへ手を差し伸べました。僕はその手をふんわりと握り、「はい、また一緒に飲みましょう」と言って、お互いに笑顔で手を振って別れました。それ以来、彼ら2人とは一度も会っていません。

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