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コロナ禍においてライブハウスにアイドルを観に行った話(前編)

 ある日、ツイッターのフォロワーのジルジルさんからDMが来て、「埼玉出身のアイドル愛好者であるふちりんさんにぜひ見ていただきたいアイドルさんがいます。ハニースパイスの宮花(みやはな)ももさんです」と言われ、東京キネマ倶楽部でのハニースパイスの対バンライブを観に行きました。正確に言うと僕は「埼玉県出身のアイドル」が好きなのではなく、「埼玉県で主に活動しているアイドル(いわゆるご当地アイドル)」が好きなのですが(今は大宮アイドールが好きです)、せっかくの熱心なお誘いなので行くことにしました。

 当日の8月14日はあいにくの大雨だったけれど、大宮駅から鶯谷駅まで京浜東北線一本で行けたし、会場の「東京キネマ倶楽部」は駅から歩いて3分くらいだったから、わりと楽でした。ライブ会場の写真はもっと正面から撮りたかったんだけど、検温係の者が入口のところに立っていたので、彼から見えないところから撮影した結果、以下のようなシュールな写真となりました。

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 正面からスマホのカメラを構えたら、検温係の者に不審者だと思われそうで気が引けたのです。写真を撮ったあとに検温を受けたら大丈夫でした。ビルの中に入って6階までエレベーターで上がります。スマホでチケット代わりのQRコードを表示し、受付係の者に読み取ってもらい、入場しました。ドリンク代500円を支払いました。ドリンク代係の女性は透明の手袋をしており、コロナ対策が厳重だなと思いました。「アルコール消毒をお願いします」とその女性に言われ、手指をアルコールで消毒しました。そして薄闇のなか螺旋階段を降りていくと、ライブの大音量が響きわたってきます。久しぶりの感覚でした。「そういえばコロナ禍のせいで、もう1年以上くらいライブハウスでアイドルのライブを見てないな」と思い、わくわくしてきました。1階ぶん階段を降りると、ライブが行われているホールに辿り着きました。

 ソーシャルディスタンスを確保するために、椅子が間隔をおいて並べられています。ステージの上では見知らぬアイドルが歌っています。僕はまずドリンクを受け取りに行きます。やっぱりお酒は売っていません。しぶしぶジンジャエールを頼みました。僕はお酒を飲みながらアイドルを観るのが大好きなので、とても残念でした。

 ホールの最後方に立ってジンジャエールをひと口飲んだ僕は、ジルジルさんに「着きました!」とDMしました。ジルジルさんは「後ろの方の真ん中らへんにいます」とのこと。宮花ももちゃん推しの桃色のTシャツを着ているらしいジルジルさんの姿を探します。すぐにそれらしき人物が見つかりましたが、一度も会ったことがないので確信が持てません。僕はジルジルさんらしき人の真後ろの席に座り、「いまたぶんジルジルさんの真後ろにいます」というDMを送りました。タンポポの「恋をしちゃいました!」に出てくるヤバい男の子みたいだな、と思いながら。ジルジルさんはすぐに後ろを振り向き、僕と目が合いました。お互いに頭をペコペコと下げました。アイドルのライブが一段落すると、僕はジルジルさんの隣の椅子に座り、少しお話をしました。ジルジルさんはとても気さくな良い人でした。

 そのあと、「ピンキースパイス」というアイドルグループのライブが始まり、僕はこれが「ハニースパイス」なのかな?と思ったけれど、熱心なハニスパヲタクのはずのジルジルさんが全くはしゃいでいなかったから、たぶん違うんだろうな、名前が似ているだけで、と思いました。そのあとに出てきたのがハニースパイスであり、ヲタクがたくさん集結し、左隣のジルジルさんも立ち上がりました。僕もそれにならって立ち上がりました。

 ハニスパの曲が開始されると、ジルジルさんはほとんど完璧なフリコピをやりはじめ、とても楽しそうです。声を出したい系のヲタクはコロナ対策のために声を出せず、非常につらそうでした。コロナ禍のもとでは、フリコピをして楽しむしかない、みたいなところがあるようです。いつも僕はいわゆる地蔵(無言かつ棒立ちのヲタク)であり、後方で彼氏づらをしながらアイドルのライブを観ているので、この状況は居心地がよかったです。酒が飲めないのはつらかったです。ハニースパイスのライブは曲が良かったし、ノリノリになれるものが多かったです。メンバーのパフォーマンスも完成度が高く、それぞれの個性も出ており、思っていた以上に楽しめました。ライブハウスで生で見るアイドルたちは、キラキラと輝いていて、その輝きは僕の暗い心を照らしてくれるかのようでした。

 ピンク色担当の宮花ももちゃんはライブ中に一人ひとりのヲタクの顔をよく見て、頻繁に笑顔で指さしをしていました。彼女はおそらく僕の左隣のジルジルさんにも指さしをしたので、僕が指さしされたように感じ、胸がどきどきしました。その一方、僕がガチ恋していた元モーニング娘。の石川梨華ちゃんは、指さしどころかヲタクの顔を見ることも滅多にありません。ライブ中、いつもどこか空中の一点を見つめています。梨華ちゃんは一体なぜ、そのような振る舞いをするのか。個人的には、彼女はどんなヲタクも特別扱いしたくないからだと推測します。それが梨華ちゃんなりの優しさなのでしょう。でも、宮花ももちゃんの振る舞いもとても魅力的であり、甲乙つけがたいし、みんな違ってみんな良い、と思います。

 ライブ中、基本的には宮花ももちゃんを見ていた僕ですが、オレンジ色担当の子も気になりました(天宮るなというらしいです)。ものすごくキビキビと踊っていたからです。僕は後ろの方にいたため、その子の顔はよく見えなかったけれど、彼女からは大きな魅力を感じました。ハニースパイスのライブの楽しい時間は、25分くらいあったけどあっという間に終わってしまいました。正直、もうちょっと見たいなと思いました。ずっと激しくフリコピをしていて汗だくのジルジルさんに「さあ、それじゃあ特典会に行きますか!」と言われ、僕たちはビル1階の特典会場へ向かうことになりました。(後編につづく)

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