聴くことからすべては始まると思うのです。聴かないからすれ違いが生じると思うのです。[利益とは何か #28]
顧客は何をもって価値とするか、何が彼らのニーズ、欲求、期待を満たすかとの問いは、実はあまりに複雑であって、顧客本人しか答えられない。
ここで原則は、顧客はみな正しいとすることである。ほとんど例外なく、彼らの行動は合理的である。したがって、答えを想像してはならない。必ず、直接答えを得なければならない。
『経営者に贈る5つの質問[第2版]』
質問3 顧客にとっての価値は何か? p68より
ドラッカー先生が、『経営者の条件』の序章(2004年に寄稿)において「聞け、話すな」と寄せられてから、そろそろ20年が経とうとしています。
能力的に、というよりも、環境的に、聞くことが難しくなっている気がします。
SNSが人との交流の主流となり、基本は文字データで発信できる人が発信したいときに発信したいことを自由に発信することができます。
動画も増えてきましたが、短くキャッチーなもので、短時間で確認ができることで人からの評価も得やすいものが多いように感じます。
個人ラジオや双方向のやりとりもできるようになっているようですが、基本的には「発信する」ことが主流ですよね。
受動的に聞くことが多くなってきていますが、能動的に聴く経験、どれくらいの方がどれくらいの頻度で行えているのでしょうか。
そんな環境があるのは認識していますが、今の社会においても、これからの社会においても必要とされる行為が「聞く」「聴く」という行為です。
人の要求は、言語化できるほど明確なモノとは限りません。
常に自らの要求を突き詰めて考えて、言語化するよう意識している方も少ないでしょう。
成熟された社会において、多くの商品が生み出され日々刷新されていく中で、「こんな工夫がされていたらもっといいのにな」とは思っても、「言うほどでもないか」と感じていたりもします。
モノ・サービスがあふれているからこそ、ニッチな要求は誰にも聞かれることなく零れ落ちてしまっているような気がします。
『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』 (ケイト・マーフィ 著 / 篠田真貴子 監訳 日経BP)を読んで、「聴く」ことの難しさを再確認しました。
自ら発信することを推奨する本は、日々生み出されています。
発信しなければ誰にも気づいてもらえないですから、大事な能力ですし、求められる行動です。
でも発信することに疲弊しているようにも感じています。
誰かに評価されたり、アドバイスをもらいたいわけではなく、ただ受け止めてほしい時、ありませんか。
相手の時間を奪ってしまう、と感じるので、あまり電話や直接的な対面ではなく、文字でのやり取りが多くなってしまいますが、気が向いたらでいいので聴いてください、と連絡してしまいます。
それだけ相手を信頼している、ということでもありますが、聞いてほしい気持ちが大きくなり過ぎて、どうしようもない時も出てきます。
社会において、「聴く」気持ちがあふれたならば、きっと多くの問題は解決されるのでしょう。
支持率なんかが上下するのはきっと、行動の影響もあるのでしょうが、真摯に聴くつもりのないパフォーマーにすぎなかった、と判断された結果なのではないでしょうか。
「聴く」ことは「受け止めること」。
誰に対してもできることではありませんし、その行為を行うかどうか、誰に対して行うかを決めるのはあなた自身です。
誰の話を真剣に聴きたいな、と感じましたか?
まずは、その方に「元気~?」と連絡を取ってみてはいかがでしょうか(*'ω'*)
聞く方法も、いろいろありますよね。
アンケートの形も、yes/noでの回答や、記述式の回答があります。
対面での座談会方式もあります。
ご要望をお知らせください、と周知し続ける方法もありますよね。
どの場合であっても、聞き手がどれだけ聴く気があるかが結果を左右します。
「この顧客何言ってるんだ……!?」と思いながら聞かれているかも、なんて感じてしまえば、顧客側は本音を言うこともありませんし、顧客ですらなくなってしまうかもしれません。
全員が、すべての想いを言語化できるとは限りません。
でも、言葉にならない想いを聴こうと真摯に耳を傾けなければ、本当の欲求を引き出すことはできません。
相手の言葉を否定する気持ちをもたずに、人の言葉を受け止められていますか?
日常生活でも同じです。
誰かと想いがすれ違っていませんか?
その原因は、聴いていないことが多いことでしょう。
想像で相手の想いをくみ取ることは難しいでしょう。
どんな想いを抱えているのか、「聴いているよ」と伝え続けることでしか、引き出すことはできないでしょう。
ビジネスであっても、家庭であっても、すれ違いの原因は、あなたのこころのもち方だと思います。
相手の状況を考え、相手の要望を知り、それに対応した行動をとる。
すべての行動の原点は「聴く」ことではないでしょうか(*'ω'*)
誰かとすれ違ってはいませんか?
その方の想いを聴くことはできていますか?
相手には相手の想いがあることを尊重できていますか?
相手が正しい、と肯定を前提に向き合えていますか?
あなたは今日、誰の言葉を聞きますか?
『実践するドラッカー【利益とは何か】』
chapter3 われわれの顧客は誰か 顧客にとっての価値は何か p77 #28
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実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、5つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
ドラッカー先生の言葉と佐藤先生の解説が1セット、そこかしこに「今のあなた」に必要な言葉が散りばめられています。
佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか?
[利益とは何か]は、ミッションからスタートする<5つの質問>というツールを使いこなせるようになることを目的に書かれています。
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