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幼馴染が働いている旅館に泊まる

1泊2日。萩に小旅行に行ってきた。
私の幼馴染が働いている旅館で宮沢賢治の親族の方の講演会が開かれるためだ。
そのイベントが開催されることを教えてくれて、
ちょうど、旅行にも行きたかったので、行くことにした。

大阪から新幹線やバスを乗り継ぎ、約5時間。
山を越え、ポツンと海辺に面している街。
その街は多くの偉人を輩出しており、明治時代が好きな私としては街の観光も楽しみだった。
また、幼馴染はその場所を一人旅で訪れて、すっかり気に入り、移住することを決めたので、彼女をそこまで魅了した街に興味があった。

少し幼馴染の話をすると、幼稚園~高校まで同じで、中学時代は部活も同じだった。
大学時代はよく一緒に海外旅行も行った。
彼女は淡々としていて、静かなタイプだけど、人一倍行動力があって、芯がぶれない人だ。
私が人生で今まで出会った人の中で一番軸がある人だと思っていて、尊敬もしているし、彼女から強い刺激を受けている。
お互いテンションが高いタイプでもないので、一緒に居るときはずっと低燃費だけど、それが快適で心地いい。

昼過ぎに到着し、荷物を預け、自転車で街を観光することにした。
街自体はとても小さいので、神社、造船所跡、藩校など、半日でも多く、観光できた。
こんな小さなのんびりした街からよく、吉田松陰が誕生し、高杉晋作が誕生し、田中義一や山縣有朋が誕生したなあと感動した。
いや、山に囲まれた閉塞的な場所だからこそ、山を越えて大きな世界を見たいと野望に掻き立てられたのかもしてない。

地元の人も程よい距離感で近すぎず、遠すぎず。
海、山、川の全てが揃った素敵な街並みだった。

講演会の時間に合わせて旅館に戻ったのだが、
幼馴染がしっかり板についた接客をしてくれて、何だか感慨深い気持ちになった。
彼女は昔から旅行や観光に興味があって、新卒からずっと観光業に携わっている。
ちゃんと有言実行で好きなものを仕事にしているのを見て、感動したし、
同時に人に感謝されて、サービスを供与している姿を見て、
自分の仕事は何も生み出していないし、(生み出しているかもしれないが、自分のバリューが会社に貢献している実感を持てていない)
ので、何となく恥ずかしくなった。

宮沢和樹さんの講演会は内容は過去に書物や記念館で予習していたこともあり、新しい発見などはなかった。
ただ、今回の自分の目的は、和樹さんを通じて、直接聞いて賢治の雰囲気や人となりを透過することだった。
実際に賢治に会うことはできないけれど、親族の方からどんな人でどんな表情をして、どんな声なのか、想像することはできる。
実際にお会いした和樹さんは東北らしい素朴で温かい雰囲気の方だった。
時々ジョークを交えながら話をされる姿は在りし頃の賢治を想像させた。
和樹さんは宮沢賢治を面白い人、楽しい人だと話していた。生家も裕福なので、純粋で余裕があるというか、いい意味で大きくなった子供のような印象を受けた。

和樹さんのお話を聞いて、旅館で美味しいご飯を食べて、大満足の小旅行となった。
ただ、和樹さんの話の中で、中原中也や高村光太郎の名前が出てきたので、ある程度文学知識が無いと楽しめないというか理解しにくいだろうなと感じた。
文学知識や一般教養は前提知識として、これからも自分の中に蓄えなければならない戒めとして、一生勉強だ。

度々、旅館の方が「幼馴染は顔に出していないけど、嬉しいと思いますよ」と話してくれた。
私も彼女が働いている旅館にこのようなきっかけで訪れることができて嬉しいし、私が行ったことで少しでも励みの一助になっていれば嬉しい。
やっぱり、実際に会いに行くことが愛情の最大の表現だなあと思いながら、萩から新山口へのバスに揺られる。

ps
海辺でパン食べてたら、パンとメガネをトンビに取られた。完全に油断してた。

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