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相手を尊重する知性

お盆休み。
私は母とマレーシアに旅行にいった。

もうコロナになってから海外旅行に行っていない。
とにかく行きたくて、勢いでチケットとホテルを取った。
母と行く海外旅行は19歳の台湾以来久しぶりだ。
弟いわく、このために服や色々調べたり、しおりを作ったり大層楽しみにしていてくれたらしい。

お盆前の暑気払いを早々に抜けて、東京駅まで直帰。
翌日には成田から飛び立った。
何となく簡略化されて楽だった。

機内ではHouse of gucciを見た。
あれ実話なんですね。
レディーガガの狂気じみた芝居が最高にいけていた。
あとはコリアンミュージックとして唯一あったルセラのアルバムを聴いていた。
やはり宮脇咲良の力はすごい。アジアの女神様ですよ。
機内食はマレーシア航空だったのでハラルフードがあるかなと楽しみにしていましたが、JALとのフラッグシップ便だったため、なかった。
実は初めてJALの便に乗ったが、どうりで座席が広く、快適だった。
※時を同じくしてマレーシアに行っていた友人はキャセイパシフィックで香港乗換。待つ時間が嫌なのよねえ、タイパ。

マレーシアには昼過ぎについた。
バッグの受け取りレーンが分からず、迷子に。
久しぶりのあの海外の空港の雰囲気。胸がときめく。
肌感覚で、中東やアフリカからの旅客が多く、異国なかんじ。

そのまま新幹線でホテルまで向かう。
ちょっと課金して、KLセントラル駅直結のアロフトに泊まった。
アロフトはマリオットが手掛けるブランド。
マリオットより安く泊まることができるが、都心にあり、部屋も綺麗で接客も良かった。
実はコロンビア人夫妻が堂島のアロフトに泊まってから存在を知った。
香港で台風により帰国できなくなった時、香港のマリオットに泊まって以来、個人的にマリオットが好きだ。
ラグジュアリーホテルの中でも低価格帯だし、ご飯が美味しいし、活気のあるフロントや雰囲気も気持ちがいい。
ちなみに前述の彼はリッツに泊まったらしい。クソ、ブルジョアジーめ。

窓からはklセントラル駅が見える

チェックインは9時ごろに済まし、隣接するKLセントラルへ探索と夕食を探しに行った。
とても広く、スーパーやドラッグストアもあった便利な場所だ。
今回の旅では本当にお世話になった。

フードコートは閉店間近のため、店が少なく、プルダックボックンミョンの上にダージーパイ的な何かが乗っている麺にしてみた。
300円くらい。安くてびっくりした。
マレーシアの物価は日本の1/3くらいだ。
その後スーパーでお菓子やジュースを買った。
私は外国のスーパーが大好きだ。
現地の暮らしに馴染むことができるし、色鮮やかな野菜やフルーツたちはエネルギーをくれる。

ブルダックボックンミョンより辛い。350円くらい

翌日はピンクモスクとバドゥ洞窟へ。
何といっても、今回私がマレーシアに生きたかったのは、
①バグラヴァを好きなだけ食べる
②モスクに沢山いく
この2点が目的だ。
日本のバグラヴァ市場はハイパーインフレだ。
4つで2000円もする超高級菓子だ。

色々なバグラヴァ


たまに神戸モスクの近くにあるハラルショップにいくと、少し安く購入できるので、買いに行くこともあるが。
バドゥ洞窟はKLセントラル駅から北上する電車の最終駅にある。
ヒンドゥー教の寺院だけど、とにかく置いてある仏像や装飾がカオスな色彩でとても行きたかったので、嬉しい。

後ろの階段を登って洞窟の中の寺院に行く。

マレーシアの鉄道は線によって切符の金額が大きく異なる。
空港直結の路線は他の路線の3倍ほどの金額。
ただ前提として車社会だし、暑いのでほぼグラブを使用していた。
電車の本数も1時間に1本ほどと少ないしね。

バドゥ洞窟のあと、プトラジャヤに行き、ピンクモスクへ。
到着が丁度、礼拝前の時間でミナレットからアザーンが鳴り響く。
母は何なのこれ?とキョトン顔だったが、私は卒論で書いた景色そのもので興奮した。
日本では騒音問題もあったりするので、アザーンは屋外では流れないことが多い。
ただし、マレーシアの国教はイスラム教なので、ごく平然と流れる。
モスクは礼拝の時間はムスリムしか入れないので、空き時間に川のクルーズに乗る。
今回、マラッカとこのプトラジャヤの2回船に乗った。
とにかく暑いから涼みたい。

クルーズから見えたモスクとミナレット

船にはアジア人と中東系の半々。
中東の富裕層ファミリーのまつ毛がまつエク何ミリ??ってほど長く、濃く、太く、心底羨ましかった。
多分人間は環境に順応するから、暑い国や砂漠から保護するために伸びるのでは?ならちまちままつ毛美容液を塗るより、3か月アフリカに行った方が効果があるのでは?なんて話を母としていた。
全く、愉快な母だ。

モスクでは、旅行客向けにヒジャブを貸してくれる。
大体のモスクがカッパみたいな簡易なものだけど、マラッカの水上モスクだけはしっかりとしたヒジャブを着つけてくれてテンション爆上がりした。

早速礼拝ホールに入り、写真を撮っていると、私のポージングが礼拝時のポーズと同じようなポーズ(両手を広げる)だったようで、注意された。
※イスラム教に興味がある割に、詰めが甘い。
その場で謝罪したのだが、母がその方の前でそのポーズの写真を全て削除した。
恐らく、その対応に感激したようで、そこからシマさんによる30分に及ぶイスラム教の説明会が始まった。

母のこの行動は相手の立場に立ったとても気持ちのいい行動だと思う。
中々、私はそこまで気が回らないので、育ちがいいとか、品があるとはこういったことかと納得した。
シマさんは日本に興味があり、勉強しているとのこと。
そこに尼崎で約20年暮らしていたハラドさんが加わり、しばしの交流会が始まった。
大前提として、このモスクには多言語の翻訳されたコーランや経典の思想を説明したボードがあった。
それ以外にも「選挙に投票したから、親指が黒い」「日本の東京ジャーミイや神戸モスク」「クアラルンプールは住むところなの?」「おすすめの料理は?」など文化の話までできた。
特に親指はグラブの運転手が黒かったので、気になっており、合点した。
確かに不正できないし、理にかなっている。
ちなみに、このインクは1週間消えないらしい。
私がイスラム金融の卒論を書いたことや、興味を持って聞いていたので、どんどん盛り上がってしまった。
まだ、行きたい場所もあったので、最後に写真を撮って解散した。
母も元々ニュースで知るイスラム教やムスリムのイメージがあったから、この出来事も含め、この旅でムスリムに対する印象が大きく変わったらしい。
それは良かった。

その土地の知識を少しでも持って、話しかけてみると相手も気持ちよく、話してくれる。
例え、間違った失礼なことをしても、無知をすぐに詫び、尊重する姿勢を取ることが大事なんだな。

正直めちゃめちゃテンション上がった

マレーシア上陸後、初のモスクに大変興奮した私はその後クアラルンプールに戻り「イスラムマレーシアミュージアム」へ。
ここのお土産グッズがとても可愛く、自分のイニシャルのHが入ったカリグラフィー磁石を買って帰った。
途中の展示からひたすらコーランや磁器で少し駆け足になったけど、
オスマン帝国のドラマで見たような調度品やトルコ、エジプト、シリアからシルクロード、マラッカ海峡を渡ってきた調度品たちは日本の美術館では見ることができないため、とても面白かった。

こうして私たちの6日間の旅は始まった。
少し長く滞在したおかげで、第三の都市イポーやマラッカ海峡、終点など、沢山色んな場所にいくことができた。
マラッカへはバスタ新宿のような高速バス乗り場からバスで行った。
チケットの引き換え場所が分からずにいると前にいた女性が助けてくれた。
2人がチケット引換場所を探している間、息子としゃべっていたのだが、
おじいさまが中国人でシンガポールとの国境のジョホールバルに帰るらしい。あまりにも見た目が若かったので年齢を聞いたら30歳だった。驚き。
少し中国語で挨拶をしたらチャーミングだねと言ってくれた。
褒めれらたということにしよう。

イポーで使用したグラブの運転手はムハンマドさん。ムスリムの方だ。
中々機会がないので、「バグラヴァが好きなんだ。やっぱりムスリムはよく食べるのか?」と聞いたら、「バグラヴァ?なんだそれは?ラマダン期間はデーツを食べるけど、それ以外は食べないよ」と回答。
そんなまさか?と思い調べると、バグラヴァ調理で使用する砂糖を精製する際に豚の骨を使用する可能性があるため、戒律の厳しいムスリムは食べないらしい。
そんなこと知らなかった!ので、生の人の話は面白い。

さっきから度々登場ですが、バグラヴァは中東で発祥した甘いお菓子です。
私とバグラヴァの出会いはネットフリックスでナディアの料理番組を見たことがきっかけ。
ムスリムである彼女は番組内でバグラヴァを作ったのですが、画面から美味しさと幸せが伝わってきて、心底興味を持った。
調べてみると国内のモスクに展開しているバグラヴァ含め製パン会社が愛知にあることを知って、行ったりもした。
マレーシアにはそのバグラヴァが沢山。しかも安い!
私は中でも繁華街のアロー通りにある「kunafa」というお店が好きな味で、2回買いに行った挙句、当日kunafaとバグラヴァを爆買いして、お土産にした。
店員さんはイエメンから来たらしい。
日本にこのバグラヴァ持って帰るよ!って話したら「それは嬉しいねえ」とダンディーな笑顔。
電子レンジで3分温めるのがいいって話していたけど、私は冷たい味が好きなんだ・・・。
やたらと「はちみつしか使用していないよ!砂糖入っていないよ!」と話していたけど、多分前述のとおり戒律の厳しいムスリムでも食べることができるからなんだろうな。合点。

クナーファはフライパンで温めて提供される

駅前でポップアップをしていたバグラヴァのお店はトルコ本店らしい。日本未上陸。
沢山買ったら、色々試食させてくれた。けれど中東のお菓子はエネルギーが必要だから甘い。
お兄さんはエジプトから来たんだと。世界は広いな。

このほかにも色々いきました。
ありったけのモスクと、関羽が祭られている関帝廟で三国志の桃の木の下の3人の仁義の契りの絵が描いてあるのが見れたり、やっぱり食堂では「アジノモト!!」と連呼されたり、今回も面白い旅だった。
マックにはナシレマもあったり!

バスの運転手も礼拝の時間は路側に止めて、お祈り初めるし。
みんな自分の時間帯でゆる~く、楽しく生活していて、こんなにせかせか生きていかなくてもいいのかなって思った。
多分、今回の旅で人の優しさを感じたのも、みんな生活の中にゆとりと余裕があるからなんどうな。
納期や仕事ばかりする人生以外にも道はあるんじゃないか、そんなことも考えてしまった。

最後にマレーシアは治安、観光、ご飯、物価、バランスのとても良い国だ。
正直、今まで旅行した国の中で一番楽しかった。し、現地の生活をよく知ることができた。
でもきっとそれは私が少し知識があったから余計楽しくなったんだろうな。
そう考えると、国内旅行でも訪れる場所の歴史や偉人は知ってから行くと更に楽しいのだろうな。
そんなことを考えたのでした。
今はその土地に行っても野球の強豪校しか話題を提供できないからね。

マレーシア。
直行便で7時間くらい。
シンガポールやタイより、異国情緒な雰囲気も楽しめるし、おすすめ。
ただし、トイレは汚いので、日本に感謝。


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