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溧陽を食す。


2013年10月、溧陽にある知人の実家に招待され、帰りにお土産に土地のものを
いただいた。自分なりの料理で " 溧阳 li yang "を味わいたい。

季節の藻屑カニ、菱(ひし)、銀杏

 季節の” 大闸蟹 da zha xie ダーザーシエ " =藻屑カニ(上海蟹)、は幾つもいただいたので半分は蒸し蟹に。少し日本酒を振って、このカニは海のものではないがごく微量の塩を当てた方が美味しいと思っている。

” 菱 ling リン " 、という食べ物を知っているだろうか?
 日本語も”菱(ひし)"という。池や沼に生える水草に一種で浅い水底から茎を伸ばして水面に葉を広げていく植物。その果実になる胚珠には澱粉が蓄積されて食用とできる。夏から秋にかけて収穫可能なようで、若いものは緑色、少し熟して茗荷のような赤味を帯び、熟成すると黒くなるようだ。
 私自身は初めて見る食材で、その悪魔のような?バッファローマンのような?仰々しい姿に少し戸惑ったが、一つ割って確認。
調べれば生食も可能なようだが、淡水中のものであるし、安全のために茹でてから食す。硬い殻の中は栗のようである。色合いが砂肝のようでもあるが、特に風味は感じないもの。
澱粉質の食感からしても、扱いとしては栗のように使うのが正解かとは思われる。
栗のような香りは持たないが。

日本では湖畔に暮らすアイヌ民族も食糧として、珍重したようだ。” 菱 "のなは、その菱形のはに由来するか、実の形状に由来するかはわからないらしい。

常州の南には、太湖や千島湖がある、溧陽の水辺も特産の地であるようだ。

 1、藻屑カニを蒸してむき身にしたものを使って” 甲羅で茶碗蒸し "。
 2、銀杏と菱を一緒に、酒と薄塩で” 銀杏・菱ごはん "。
 3、” 槐盐大闸蟹 huai yan da zha xie ファイ イェン ダーザーシエ "
          ( 炒めた蟹に五香粉と塩で味付けしたもの) 


" 溧陽の秋実る釜飯 "
” 溧阳 稔秋 蟹菜饭 li yang ren qiu xie cai fan リーヤン レンチュウ シエ ツァイファン"、と中国の料理名を考えてみた。

動かないようにこういう縛りで
生きている。表面に熱湯をサッとかけたのでやや赤い。


土鍋で炊いてみよう


” 溧陽 秋の宝石箱や〜"



圧をかけて炊く


完成。


カニの味噌と身をほぐして
天は自分で育てようとしてた三つ葉のスプラウト

 
 美味しく作ろうと、鰹出汁やら動物系のスープやら、旨みのある調味料やら、加えることはできるが、素材を知るためにできるだけシンプルにした。

 蟹、菱、銀杏、一つの土地の季節のものを取り揃えて一緒にいただくと自然に体が喜ぶような味になる。旅すること、料理すること、こんな時に小さな幸せを感じる。 
 土地の味でもてなしていただいたので、私はこの時のことを思い出し、日本に帰省した時に故郷の酒を買って贈ることにした。ちゃんと味わってもらえただろうか。。。


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