水彩画研究ノート【水彩紙に線をトレース方法 その1】
こんにちは。風夜です。水彩画研究ノート、本日から2回にわたって水彩紙に線をトレースする方法をまとめます。一番効率が良い方法は一体どれでしょうか?今回は初歩的なトレース方法2つご紹介!
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【線をトレースする必要性】
・水彩紙は傷つきやすい
一般的に水彩画は着色する前に、鉛筆等で下書き線を直接描きます。しかし、複雑で緻密な絵の場合は、一度別の紙に下書き線を描いて、それを水彩紙にトレースする場合があります。
何故かというと、水彩紙はとても繊細で傷つきやすいのです。
構図を悩みながら練り消しや鉛筆で何度もゴシゴシ、カキカキしちゃうと、繊維が毛羽立ったり紙が凹んだり、にじみ止めの劣化を促進させる場合があります。さらに、鉛筆を持つ時間が長すぎると、手の平に付いた鉛筆の粉で水彩紙を汚してしまうことも。
特にデッサンしながらではなく、ゼロから想像して描き上げていく、デザイン性が高い絵(主にイラストレーション)は、別の紙にレイアウトや形を決めて、それをトレースしたほうが仕上がりが綺麗です。
花びらが多いバラや芍薬なども、慣れないうちは面倒ですが、一度、別の紙に描いた方が構造の理解にも繋がります。加えて陰影も決めておくと、着色する際に色の濃淡を悩まなくて良いです。
線をトレースできるようにしておけば、もし着色で失敗しても下書きの手間が省略できて復活が早いです。
・慣れてきたらトレース不要
もちろん慣れてくれば、トレースはしなくてOK。複雑な絵も薄い線で下書きできるようになってきます。そもそも下書き自体を少なく、直接、筆で描くことができれば何の問題もありません。※トレースすることのデメリットは後日記載。
今ではビルや観覧車なども直接紙に描いてますが、一度描いた線を大幅に修正する場合、↓下記の写真のように鉛筆線の跡が残ることがあります。これは夜空の絵で、上から濃い色を塗って見えなくなるので大丈夫でしたが、アルシュの極細など凹凸が少ない水彩紙は、跡が目立ちやすいので気を付けたほうが良いでしょう。
1.トレーシングペーパー
では早速、様々なトレース方法をご紹介致します。
トレースといえば、トレーシングペーパーです!(別名トレペ)100円ショップで入手可能です。トレペを使った最も初歩的な方法がこちら。
1.トレペを重ね線をなぞる
トレースしたい絵の上にトレぺを乗せ、マスキングテープで固定する。
※紙が動くと描いているうちにずれていくので、しっかりテープで固定することがポイント。
そしてトレースしたい線をなぞる。
なぞり終わったら、下絵を外す。マスキングテープは付けたままでOK。
※外す前にトレース漏れが無いかをチェック!
2.トレペを裏返し鉛筆を塗る
トレペを裏返しして、柔らかく濃いめの鉛筆(4Bくらい)で、線の上を塗る。シャーペン、硬くて薄い鉛筆では、次の工程で線が写りにくい。
3.トレペを表にして線をなぞる
再びトレペを表に戻して、水彩紙の上に貼り付けます。
そしてボールペンなど、先が固めの筆記具で上から線をなぞる。※どこをなぞったかわかるように、カラーボールペンがおススメ。
4.トレース完了
全部なぞり終わったらトレペを外す。一回トレペを外してしまうと、再度トレペを貼り付ける位置の調整が難しいので、線の付きが弱かった部分などは、直接描き足しましょう。
基本的には鉛筆を塗ってトレースしますが、色鉛筆でも同じようにできます。ただし色鉛筆は一度紙に定着すると消しにくいです。
2.コピー用紙
1のトレース方法のデメリットは、1.下絵に線を描く、2.トレペに線を描く、3.また上から線をなぞる、4.トレースした線の調整 …と、同じ線を3~4回も描かないといけない点です。
簡単な絵には向いてますが、結構疲れますし、線の精度が次第に下がっていきます。特に下絵で良い表情が描けたとしても、トレース後には微妙に変わってしまいます。まさにコピーのコピーは劣化を生む現象が起こるのです。
そこで、もっと手間を省きましょう!…ということで次はこちらの方法です。
1.下絵をプリンターでコピー
トレースしたい絵をコピーします。こちらはコンビニに置いてあるコピー機から、写真を出力したもの(普通のコピー用紙です)
2.用紙の裏に鉛筆を塗る
コピー用紙を裏返して、トレースしたい部分を鉛筆で塗ります。
3.コピー用紙を表にして線をなぞる
コピー用紙を表に戻し、水彩紙の上にマスキングテープで固定。
こちらも1のトレーシングペーパーの方法と同様、ボールペンなど先が固い筆記具で線をなぞっていきます。
4.トレース完了
なぞり終わったら、コピー用紙を外して完成。これは道具少なく、手っ取り早い方法です。
とてもシンプルな方法ですが裏に鉛筆を塗るのが毎回大変!しかも均一に塗らないと↑上記写真のように線に強弱ができてしまうし、鉛筆を塗る範囲が広いと水彩紙自体が汚れてしまいやすいのが難点。
では、さらにもっと効率良くトレースする、一番おススメの方法を次回に掲載いたします!お楽しみに!
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