森に広がるこの白い靄は、今の僕の頭の中のようだ。馴染んだ温もりと愛していた誰かが居たことは確かなのに、大事な部分だけ綺麗に切り抜かれていて、手を伸ばせば痛みが走る。光を当てても先は見えない闇。この靄が晴れる頃には、いつかのきみと、失くした左の聴力の理由にも辿り着けるのだろうか。

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