顔も知らないきみとそれに関わる何かに縛られている。それだけはよく解った。思い出せもしない誰かの影を追うなんて我ながら馬鹿げてる。冷え切った身体は寄り添うドラム缶さえ温もりと錯覚して、水面に映る顔を歪ませる。誰なんだ、お前は。雨粒に打たれるペンダントが、痛いと泣いているようだった。

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