さっきまでいた右も左も雨音に包まれた街とは打って変わって、靄が覆うこの街はとても静かだ。川の近くに立てたテント。木々に囲まれ、風はない。せせらぎが微かに聞こえるだけ。今の僕と同じ、なにもない。寒さを誤魔化すように頭から毛布を被って、でも何故だか不思議と、ちっとも寂しくはないんだ。

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