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「生きづらさ」は障害のせい?社会のせい?

筆者プロフィール 

物心ついた時から女好きの女(FtX)。2歳半頃に両親が離婚し、父親不在の母子家庭になる。小学校二年生の夏休み最終日、母親の夜逃げに兄と共に強制連行され、その日以降、通学させてもらえなくらなり、夜逃げ先の家で軟禁状態になる。学校側からは「行方不明」を理由に除籍され、最終学歴「小学校中退」となった。母親と兄から虐待を受けた影響で、統合失調症を発症。


僕は以前、Cという就労移行支援事業所に通所していました。

「就労移行支援」というのは、どんな施設なのか説明すると「就労希望の障害者が原則2年の利用期間内に就職を目指す」というものです。

Cは一言で言えば「体育会系」でした。 服装規定があり、「服は襟付きのもの。ワイシャツかポロシャツを着ること。Tシャツや派手な柄や模様のものは避けること」「下はスラックスかチノパン。短パン、ジーンズはNG」といったものでした。

僕は統合失調症ですが、Cは実質「発達障害と高次脳機能障害専門」の就労移行支援でした。(訓練室の一角に本のコーナーがあったのですが、障害に関する本は発達障害と高次脳機能障害以外のものは全くありませんでした)

Cの特色「振り返り」

内容は「訓練中にスタッフが利用者に声かけして、利用者はそれまでやってた事を報告する。スタッフはそれを聞いて、そのスタッフからの評価、注意、アドバイスをする」というものです。Cでの訓練は、日によって訓練ごとに担当スタッフがつくのですが、パソコンの訓練だけは専任のスタッフが担当していました。パソコン訓練担当スタッフの「竹原さん(仮名)との振り返り」は僕のC通所時代、数少ない楽しみでした。

他のスタッフとの「振り返り」は、先ほども解説した通りの流れで行われ、スタッフは「今日は何をしましたか?それについての自己評価はどう思いますか?」「何か、気になる点はありませんか?」と訓練生に尋ねる「型通りの振り返り」でしたが、「竹原さんとの振り返り」は、八割方ほぼ「、僕がその時していた作業内容と、竹原さんのエピソードを絡めた雑談」のようなものでした。

Cでは、利用者がCのサイトに載せる日記を書いていて、当時の僕はこの日記担当をしていました。

3年前の10月、秋ということもあり「読書の秋」と訓練のプログラムをかけた内容の記事を僕は書きました。

その記事の中で「最近読んで面白かった本」の一つとして「奇人変人紳士録 in Rock」という本を紹介しました。タイトル通り、「ロックミュージシャン(海外)の奇行集」となっています。そして、竹原さんとの振り返りの時間になり、僕の書いた記事を見た竹原さんはこう言いました。

「昔は尾崎豊じゃないけど、人のバイクを盗んで、ブイブイいわしてる人もいた。『それをやれ』とも言わないし、決して、勧めてるわけじゃないけど、昔なら『まあ、そんな人もいるよね』って感じだった。でも、今の社会は『少しでも枠からはみ出た人を、一斉に叩き潰す風潮』になってる気がする。それがとても、息苦しく感じる」

僕は竹原さんのこの言葉に強く同感しました。竹原さんは僕の母親と同世代、いわゆる「バブル世代」の人です。僕はいわゆる「ゆとり世代」ですが、プロフィールで書いたように「ゆとり教育」すら受けられなかったし、現代社会では「普通」ではないからです。

竹原さんや僕の母親が若かりし頃は「日本語ロック全盛期」で尾崎豊もそうだし、BOWIE、RCサクセション、ザ•ブルーハーツなど、「日本語で本音を歌うロック」が人気でした。僕の母親はBOWIEとRCサクセション(特に忌野清志郎)が大好きです。

「就労移行支援事業所の考える障害者雇用」も竹原さんの言葉に通ずるものがあると僕は思います。

「障害者が企業で働くこと」は「障害者自身の特性を仕事で活かす」ことは実際にはまずない。

「社会の枠に障害者を当てはまるように矯正して、企業に送り込む」ことが現実であると。

「先進国ほど発達障害者の割合が多く、発展途上国はそれほどでもない」というネット記事を読んだことがあります。

僕個人の考えでは「先進国」と呼ばれる国は文化的に成熟している点もある分、「きっちりしなきゃいけない」という意識があるのかもしれません。(僕自身も『寺岡さんは真面目すぎるから、もっといい加減になった方がいいよ』とアドバイスされた経験もありますが)それは「常識」「社会性」「ルール」と呼ばれるものに対してなのかもしれません。

でも、それらの定義は非常に曖昧です。「国」「地域」「時代」「会社」「家庭」…。それぞれに独自の正解、不正解があり、また変わっていくことが頻繁にあります。

最小単位では「個人」で全く違います。

そして、これは精神障害、発達障害全般にも言えることですが、「症状」があっても「誰も困ってない」なら、問題無いのです。

例えば「コミュニケーション上の問題」がある人かいても、「それは問題」だと思う人もいるし、「まあ、別にいいんじゃない?」と気にしない人もいるわけです。

「障害者を特別扱いしろ」とは決して言いません。ただ、もっとおおらかな社会になれば、障害あるなし関係なく、「誰でも生きやすい社会」になるんじゃないかなと思っていて、そうなるように僕は強く望んでいます。

「社会の陰で生まれ育った者の戯言」と思われるかもしれませんが。





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