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紳士な旦那様と可愛い奥様

すっかり筋肉が痩せて細くなり余命数ヶ月宣告された状態で旦那様が派遣されている老人ホームに入居され、その半月後あたりにチカラない笑顔の小柄な奥様が旦那様の隣の部屋に入居されました

旦那様は、認知機能はクリア、男としての意識が高く誰かの手をわずらわせることへの抵抗が強く、介護者の目を盗んでは自分で車椅子に移りトイレに行ってしまう傾向

転倒・骨折となって入院になるのは避けたいと思いませんか?と問うと、避けたい!との意思表示をされ

筋力低下からフラつきがあることを指摘すると自覚があり、とにかく真っ直ぐ立つこと!それで筋力が増強するからとアドバイスすると即実践

タンパク質は大事!と説明し、食事に必ず付いてくるタンパク質補給用飲料の必要性を説明すると、食欲がなくても飲料だけは飲みきるようになり、数日後には食欲アップし食事も完食できるようになりました

奥様が入居される頃には、車椅子に座ったまま歩く要領で移動できるほどに回復

体重も増え、体力アップしたものの、急な増量に心臓が追いつかなくなり浮腫が出始め、血圧がかなり高くなったものの余命宣告後ということもあり様子観察のみ

「家内には、苦労かけてきた」と再び今、心配をかけ手をわずらわせる状態となり奥様を気遣う言葉が聞かれた

また、弱った状態で入居されたものの、つかまりながら歩けるまでに回復した自分を感じ「大したもんだね、まだ生きたいと思うようになった」「家内に寂しい思いをさせたくない」と生きるチカラの回復も感じられた

ただ、全身に浮腫みが現れ、呼吸が苦しそうな状態となり、飲んでる薬は下剤飲み

ということで、寝たままの排泄をお願いし、足首が動かせることを確認後 血圧を下げる効果が期待できると説明し、仕事として足首を動かし第二の心臓といわれるふくらはぎをほぐし動かすことをお願いして私は一日休暇をとりました

なんと休日明けて旦那様のところにいくと、200を超えてた上の血圧が、168まで下降!浮腫みも少し改善、呼吸も落ち着いたものの、直ぐ悪化し酸素が必要な状態に

「胸の苦しさをなんとかしたい」と夕方訴えられるので「元気に戻ってくる為に入院しませんか?」と提案

夜中に苦しくなったらコールのボタンを押して「苦しい、病院に行きたい、と意思表示すれは治療してもらえます」と話し退勤し、翌朝出勤すると旦那様は入院されていました

一度回復した姿を見た奥様は、旦那様の死への不安を再び感じ気落ちされていましたが、元気に戻ってくる為に入院を選んだことを伝え、旦那様を信じましょう!と励ましました

年も暮れに起きた出来事

2週間ほどの入院を終え、大晦日目前に宣言通り旦那様は元気な姿で奥様の元へ戻って来られ、夫婦並んで食事される生活に戻られました

凛としたたたずまいの紳士な旦那様の隣りに、少しひかえめな笑顔の可愛い奥様

とても微笑ましく、こんな素敵な夫婦でいられるなら人生の終盤も幸せに過ごせていいなぁと、憧れを感じました

間もなく任期満了で老人ホームをあとにしました

最後まで自分の意思で生きる姿、素敵な生き様を魅せていただけたことに感謝(*´꒳`*)


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