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ロシアの戦略的敗北を望む日本の立場は、平和条約交渉の妨げになっている:プーチン大統領

(日本の記者も日米安保条約密約を知っていないと、
頓珍漢な質問に終わってしまうが、
プーチン大統領は親日派的な所があるので、丁寧に答えている:フランク)


2024年06月06日(木) 

「我々は
日本との平和条約について話し合うことを拒否していないが、
日本側が条件を整える必要がある

我々は現在、
このウクライナ危機に日本が関与しているのを目にしている。
ロシアは露日対話を複雑にするようなことは何もしなかった。
これをしたのは日本側である」

「日本は
ロシアの戦略的敗北を達成する呼びかけに加わった。
あなたはこれが平和条約交渉を行うためのよい条件だと思いますか?」

ロシアのプーチン大統領が5日、
世界の通信社の編集長らと面会し、述べた。

プーチン大統領はまた、
クリル諸島は
ロシアが主権を有する領土であるため、
訪問しない理由はないと述べた。
一方、今のところクリル諸島を訪問する計画はないという。

「クリル諸島への私の仮説的な訪問は、
平和条約の準備にとって
日本のロシアに関する声明よりも深刻な障害だと思いますか?」

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「日本との平和条約について話し合うことを拒否していないが、
日本側が条件を整える必要がある。」


外務省がつくった高級官僚向けの極秘マニュアル
(「日米地位協定の考え方 増補版」1983年12月)のなかに、

○ アメリカは
日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。

○ 日本は
合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、
現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは
想定されていない。

という見解が、明確に書かれている。

北方領土問題が解決できない理由

さらにこの話にはもっとひどい続きがあって、
この極秘マニュアルによれば、
そうした法的権利をアメリカが持っている以上、
たとえば日本とロシア(当時ソ連)との外交交渉には、
次のような大原則が存在するというのです。

○ だから北方領土の交渉をするときも、
返還された島に米軍基地を置かないというような約束をしてはならない。

*註1

こんな条件をロシアが呑むはずないことは、小学生でもわかるでしょう。

そしてこの極秘マニュアルにこうした具体的な記述があるということは、
ほぼ間違いなく日米のあいだに、
この問題について文書で合意した非公開議事録(事実上の密約)
あることを意味しています。

したがって、現在の日米間の軍事的関係が根本的に変化しない限り、
ロシアとの領土問題が解決する可能性は、じつはゼロ。
ロシアとの平和条約が結ばれる可能性もまた、ゼロなのです。

たとえ日本の首相が何か大きな決断をし、
担当部局が頑張って素晴らしい条約案をつくったとしても、
最終的にはこの日米合意を根拠として、
その案が外務省主流派の手で握り潰されてしまうことは確実です。

2016年、安倍晋三首相による「北方領土返還交渉」は、
大きな注目を集めました。
なにしろ、長年の懸案である北方領土問題が、
ついに解決に向けて大きく動き出すのではないかと
報道されたのですから、人々が期待を抱いたのも当然でしょう。

ところが、日本での首脳会談(同年12月15日・16日)が近づくにつれ、
事前交渉は停滞し、結局なんの成果もあげられませんでした。

その理由は、まさに先の大原則にあったのです。

結局11月上旬、
モスクワを訪れた元外務次官の谷内正太郎国家安全保障局長から、
「返還された島に米軍基地を置かないという約束はできない」
という基本方針が、ロシア側に伝えられることになった
のです。

その報告を聞いたプーチン大統領は、
11月19日、ペルー・リマでの日ロ首脳会談の席上で、安倍首相に対し、

「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』
と言ったそうだが、それでは交渉は終わる」

と述べたことがわかっています
(「朝日新聞」2016年12月26日)。

三重構造をもつ、「安保法体系」
「旧安保条約」⇨「行政協定」⇨「日米合同委員会」

(「行政協定」とは「旧安保条約」の下で米軍が、
日本国内で持つ特権について定めた協定。
1952年4月の占領終結とともに発効し、
1960年の安保改定で「地位協定」に変更された)。

(地位協定の
「裁判権密約」「基地権密約」「指揮権密約」を
取り戻す必要がある:フランク)


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