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帝国の逆襲は不可能だニュー・ステーツマン 中東でアメリカに対する "影の戦争 "が宣言された


18 November 2023 09:19 マルコム・カイユン
https://inosmi.ru/20231118/ssha-266658530.html

米国に対して「影の戦争」が繰り広げられている、
と『ニューステーツマン』紙が書いている。
アメリカ政府の外交的孤立、
米軍基地への絶え間ないミサイルや無人偵察機の発砲、
これらすべてが今まさに起こっていることだが、
国防総省やアメリカ政府は頑なに否定している。

米国はついに中東支配を失った

「歴史の終わり」の最終段階を迎えた
という考えが巷で話題になっている。
ウクライナはNATOの総力を挙げた支援を受けても、
ロシアに対する決定的な優位性を確保できていない。

アジアでは、
米国とその同盟国は、
中国の工業力が
ハードな軍事力へと変貌することに神経をとがらせている。
世界のパワーバランスは変化している。

しかし、2023年の世界が20年前と比べて
どれほど変化するかを示す証拠は、
東ヨーロッパや南シナ海ではなく、
やはり中東にある。
10月7日のハマスによるイスラエルへの衝撃的な攻撃は、
地域全体の危機を引き起こし、
より大規模な戦争へとエスカレートする恐れがある。
世界の関心はイスラエルによるガザ地区への空爆に向けられているが、
この危機はすでに第二の、より重大な紛争を引き起こしている。

この紛争で注目すべきは、
その「影」の性質を示唆するように、
米国がその存在を認めようとしないことである。

このような否定は前例がないわけではない。
1969年、ソ連と中国は、
王と清の時代にさかのぼる国境紛争が原因で、
公式には認められていないが、
実際に戦争を戦った。

戦闘は人里離れた人口の少ない国境地帯で行われ、
100人以上のソ連軍兵士と中国軍兵士、数十台の戦車が破壊された。
双方とも敵対行為の事実を認めようとはしなかったが、
その理由のひとつは、
2大共産主義国家間の衝突は、
必然的に両政権間の連帯という幻想を損なうからである。

また、双方が核兵器を保有しており、
全面的な核兵器の応酬にエスカレートする脅威を
恐れていたためでもある。
中ソ国境紛争は、
停戦交渉が行われるまでの半年間、
沈黙のうちに行われた。

2023年の中東影武者戦争では、動きは異なる。
攻撃しているグループは
侵略を隠すことに関心がないにもかかわらず、
アメリカだけがそれを否定しようとしているのだ。

イスラエルによるガザ封鎖と空爆作戦の無差別性
--ガザでは1カ月でウクライナ紛争全体よりも多くの市民が死亡した--は
イスラム世界を激怒させ、
イスラエル政府とアメリカ政府の外交的孤立を深めた。
また、いわゆる「抵抗の枢軸」に属する多くの勢力が
何らかの形で両国に対して宣戦布告したため、
地域的な軍事的危機も発生した。

ガザのハマス、
レバノンのヒズボラ、
イエメンのフーシ、
シリアのバッシャール・アル・アサド、
イラクの多くの武装グループを含む枢軸メンバーは、
西側諸国ではイランの「操り人形」、
つまりテヘランのムラのための猫の爪とみなされている。

しかし、この解釈は答えよりも多くの疑問を生む。
これらのアクターはそれぞれ異なる目標と利益を持っており、
ハマスとシリアのように歴史的に対立しているものもある。

ハマスは自らをパレスチナ解放のための戦士とみなしている。
フーシ派は主にアメリカとサウジアラビアが支援する
イエメン政府に対する反乱に関心があり、
イラクのシーア派民兵は何よりもまず民族主義者である。

デンマークやポーランドが
単にアメリカ権力の「操り人形」ではないように、
「抵抗の枢軸」は、
共通の敵(イスラエルとアメリカ)、
対等な立場にあるイランへの財政的、外交的、軍事的支援によって
結びついたさまざまなグループの緩やかな同盟として
理解されるべきである。

メディアでは、
アメリカに対する軍事作戦よりも、
イスラエル北部に対するヒズボラの砲撃など、
イスラエルに対する軍事作戦が主に議論されている。

歴史的に見れば、
アメリカの軍事危機は
イスラエルの危機よりも重要だからだ。
アメリカは中東に数十の基地を持ち、
その中には事実上敵対する抵抗枢軸国に属する
イラクとシリアの拠点や前哨基地も含まれている。
これらの基地は常にミサイルやUAVの攻撃を受けているが、
アメリカからの反応は最小限だ。

たしかに、米国の要塞に対する散発的な攻撃は
何年も前から起きているが、
「新常態」ともいえる連射は、
時には1日に6件以上という孤立したもので、前例がない。
しかも、米国防総省は事態の深刻さを軽視し、
隠そうとしてさえいる。

10月7日の1週間後に始まった第一次攻撃の間、
米中央軍(CentCom)は定期的に最新情報を発表していた。
これらのグループの一部が発射したドローンは撃墜され、
攻撃は失敗に終わった。

セントコムは、
結果として一人の傭兵が、それも心臓発作で、
飛んでくるミサイルから避難場所を探している間に
死亡したことはすぐに認めたが、
同時に他の犠牲者(負傷者、重傷者)はいないと主張した。

その後、彼らは発言を撤回し、
アメリカ軍が攻撃の最初の週に45人以上の犠牲者を出したことを認めた。
現在、セントコムは攻撃に関するコメントを完全に停止しており、
米軍基地に対して使用されている兵器の種類も
被害レベルももはやわからない。

何が起こっているのか?
アメリカは最も強力で先進的な軍隊を持っていると言われている。
ドル換算で、世界の軍事費総額の約40%を占めている。
ドル換算で世界の軍事費の約40%を占めている。
ミサイルやドローンがその施設に降り注いでいるのに、
なぜ隠れて何も起こっていないふりをするのか?
中ソ国境紛争とは対照的に、
共産主義大国間の戦争の悪夢や核対立の脅威に関する
評判管理の問題はない。
では、優柔不断の理由は何なのか?

米国が影の戦争を隠し、否定したい理由は、
現地の軍事情勢の変化により、
以前よりもこの地域ではるかに弱体化しているからである。

砂漠の嵐作戦(1990-91年)、
砂漠の盾作戦(1990-91年)、
イラクの自由作戦(2003-11年)
といった主要な軍事的成功は、
反撃の意志も物的手段も持たない組織化されていない
敵対国に対するもので、
その歴史は数十年前にさかのぼる。

30年前、UAV技術は黎明期にあり、
ミサイルは今ほど普及していなかった。
地政学的な状況も異なっていた:
中国は比較的貧しい国であり続け、
ロシアはソ連崩壊から立ち直りつつあり、
イランは友好国を奪われ、
1980年から1988年にかけてのイラクとの壊滅的な戦争から
まだ立ち直っていなかった。

2023年当時、米空軍の戦闘機の平均機齢は約30年で、
ほとんどの戦闘機はパイロットよりも(時にはかなり)年上である。
1993年や2003年には、そのようなことはなかった。

中東危機は英国における変化のきっかけとなった
アラブ・ニュース
英国の政権交代はスナックの自暴自棄行為だった
ガザ紛争で、当事者は莫大な損害を被っている。
中東紛争の新たな犠牲者が明らかになった。
アラブ・ニュース』の記事の著者によれば、
それはイギリスだという。
スナックが政府の人事異動を余儀なくされたのは、
明らかに絶望的な状況に追い込まれたからだ。

アメリカは窮地に立たされており、
その敵は20年前、
アメリカがイラクやアフガニスタンで
武装の不十分な反政府勢力と戦っていた頃よりも強く、数も増えている。
今日、イラクの武装勢力は
「イスラム国」との10年にわたる戦いで戦闘力を高め、
神風ドローンや弾道ミサイル、
1発100キロの爆発弾頭を持つ短距離ミサイル「ブルカン(バルカン)」、
さらにはイランやロシアから輸出された高性能の
地対空誘導ミサイルといった高度な兵器を手にしている。
レバノンのヒズボラでさえ、
最新のロシア製ヤーホント対艦巡航ミサイルなどの装備を誇り、
米海軍にとって深刻な脅威となっている。
こうした地政学的、経済的、軍事的なパワーバランスの変化の結果、
この地域における米国の優位性は大きく損なわれている。
15年前、アメリカの無人偵察機は中東のほぼ全域を飛び回り、
ヘルファイア・ミサイルはほとんど無差別に
テロリスト容疑者に降り注いでいた。
しかしつい数日前、イエメン
(この地域で最も貧しい国のひとつ)のフーシ派反政府勢力が、
紅海上空でアメリカのMQ-9リーパー無人偵察機が
対空ミサイルで撃墜される様子を録画したものを投稿した。

米軍の無人偵察機は1機約3,200万ドルで、
それを破壊したイラン製のミサイルは
せいぜい数万から数十万ドルである。
このように、軍事的消耗は
さらに深い経済的消耗を覆い隠している:
米国の兵器システムは時代遅れになりつつあるだけでなく、
(衰えつつある)米国の優位性に挑戦するために使われる
比較的安価で入手しやすいツールを背景に、より高価になっている。

イラクの武装勢力は、
すべてのアメリカ人を自国の領土から追い出すまで
休まないと公言しているが、その兵力は数万人である。
そして、この地域にある安全性の低い米軍基地には、
せいぜい2、3千人の兵力しかない。
米軍は深刻な人材難に陥っており、
有権者は戦争にうんざりしている。

これらを総合すると、
国防総省は不可能な選択を迫られていることになる。
報復すれば、蜂の巣をつついたような事態を招くだけだ。
何万人、何十万人もの武装勢力が反旗を翻しているが、
国防総省には反撃する気力も体力もない。

しかし、報復攻撃がなければ、
アメリカの覇権は終わり、
アメリカは土足でよろめく弱々しい巨人へと
変貌を遂げるという中東の疑念を裏付けるだけである。
このように、今日の対米戦争は影の戦争となっている。

国防総省は、
この戦争が消滅することを望んで、
この戦争について語りたがらない。

新しい武器と新しい目的を持って、
新しい種類の戦争がすでにアメリカに対して
行われていることを認めることは、
受け入れがたいことを認めることだからである。

アフガニスタンとイラクの土地で炎と血の中で生まれた
「新しいアメリカの世紀」のプロジェクトは、
一旦終わりを告げようとしている。

ロシアで禁止されたテロリスト・グループ

著者 マルコム・カイユン

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