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障子のあるくらし

 例年になく長い梅雨が続いております。予報では7月末までこの鬱々とした天気は続くようですが、例年の酷暑による寝苦しさを考えるとどちらの方が良いのかちょっと考えてしまいます。
 今の時期、とにかく気になるのが湿気です。洗濯物はなかなか乾かないし、床は湿気でベタベタするし。しかしそもそも高温多湿の日本ですので、日本の生活空間には先人達によるありがたい様々な工夫がなされています。その一つが障子です。
 障子に使われている紙には吸湿性があるため、湿気の多い日本の住宅に非常に適しています。また通気性にも優れていることから、適度に換気を促し室内の空気をきれいに保ってくれます。更にホコリや塵、ニコチンなども吸い取ってくれるのです。障子の貼り替えが定期的に必要な理由は、この機能性を維持するためなのです。
 そのほかに、障子に使われる和紙には軽くて強いという特性や、採光を考え、且つ直射日光は適度に遮ってくれるという独特な作用を発揮します。

 障子には、メンタル面に及ぼす効果も大きいとされています。障子を通して差し込む光の柔らかい温かみが、ストレスを軽減し疲れを取り除く効果があると言われています。実際に病室に障子を取り入れる医療機関も増えていて、術後や闘病中の患者さんにとって落ち着ける環境作りに役立っています。
 このように障子には優れた機能が満載で、日本の建築文化の象徴と言われる所以が良く分かります。

 7月の長雨を経て、8月になると急に暑い夏が来ます。また、梅雨の合間に晴れ間で気温の高い日がポンと入ったりします。ジメジメした日から急に暑くなると、それまで家の中に籠っていた湿気を寝床に、今度はカビが壁の隅などに出てくるので、暑くなったら窓を開けたり除湿器を使うなどして空気の入れ替えを行いましょう。

 自分も修行時代、ちょうどこの時期に師匠の部屋の障子の張替えをしていました。毎年兄弟子と二人でやっていたのですが、ちょっともたつくと檄が飛んできたので障子の張替えの数日前からイメージトレーニングをしたりして、よくわからない準備をしていました(それでも結局怒鳴られる)。
 しかし、張り替えた後はほんとに、窓の外に広がる夏の青空と真っ白な障子がよく似合い、真新しい楮(こうぞ)紙と糊の香りに気分が良くなった覚えがあります。
 ステイホームで家にいる事が多くなった昨今、梅雨が明けたら障子を張り替えて気持ちを新たにしてみてはいかがでしょうか。

引用文献
障子は日本の建築文化の象徴~心身を健康に保つ障子の秘密とは?


二葉鍼灸療院

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