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櫛を通す

 先日より梅雨入りとなり、ジトッとした日が続いています。女性は特に髪の毛もはねやすくなったりクシも通しづらくなっている事を実感していることでしょう。
 思えばこの櫛(クシ)というのは、歴史の教科書では平安期くらいには当時の資料の絵の片隅に、貴族の調度品として描かれていたような、そんな記憶があります。
 洋の東西を問わず櫛は女性の嗜みの道具として、絵や写真の片隅にそっと置かれ、今もなお鞄の中や鏡台の上にそれはあります。ではいつごろから櫛はあるのでしょうか?
 wikipediaで「櫛」と検索すると櫛の歴史についても以下のように記載されていました。


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 櫛の歴史は古く、現代のヘアピンに近い単純なつくりのものを含めると、さらにその時代を遡ることになる。歯を備えた櫛は古代エジプトで既に広く使用されていたと考えられている。
 櫛は形状により竪櫛、 横櫛、 両歯櫛に分けられる。

竪櫛
 櫛の歯を下に向けたとき幅が狭く縦長になるもの。

横櫛
 櫛の歯を下に向けたとき幅が広く横長になるもの。

両歯櫛
 櫛の天地(上下)の両方に歯があるもの
 また櫛は歯の作り方により結歯式と刻歯式に分けられる。

結歯式
 細い竹や木を束ねて櫛の歯としたもの

刻歯式
 板状の木や動物の骨に歯の刻みを入れたもの
 一般的には横櫛で刻歯式のものが広く用いられた。太平洋の島々などでは竪櫛もみられる。

 日本では縄文時代早期(約7000年前)のものとみられる木製櫛が佐賀市の東名遺跡から出土している。縄文時代には刻歯式の竪櫛が用いられたが、古墳時代には結歯式の竪櫛が多用された。奈良時代には大陸から横櫛が伝来し横型刻歯式の挽歯櫛が一般的になった。江戸時代には髪を結い上げる習慣に伴って櫛などの髪を整える道具類が発達した。

 素材は、獣の骨や木材一般から、より櫛に適した木(ツゲ、マユミなど)や竹、鼈甲、象牙、金属、合成樹脂製などへと多様化し、形状や美しさもより高度なものへと発展してきた。現代では、理髪店などで利用者ごとに取り換えられる安価な量産品もある。

 現代の理容技術ではカットコーム、セットコーム、テールコームなど多種の櫛が用いられている。

櫛の文化
日本語の櫛(クシ)
 日本語では櫛は「霊妙なこと、不思議なこと」という意味の「奇(くすし)」や「聖(くしび)」との音の共通性から呪力を持つものとして扱われた。他方では女性が髪を梳くことから女性格の象徴的な物品としても扱われた。

 語の読みからは「苦死」に通じるため、道に落ちている櫛を拾うことは「苦と死を拾う」ことにつながり、縁起が悪いことと忌み嫌われる。どうしても拾わなくてはならない時は、足で踏んでから拾う。贈り物にするときは、忌み言葉として「かんざし」と呼ぶ。そのほか「94」を「くし」と読む語呂合わせから、櫛を大切に扱い、人々の美容への認識を高めてもらおうと、日本の全国美容週間実行委員会が9月4日を「くしの日」と定めた。

櫛の呪力
 日本では古来、櫛は別れを招く呪力を持っているとされ、現代の日本人でも櫛を贈答品にしたり、気軽に貸し借りしたりするのを嫌がる人は少なくない。一方で、魂の宿る頭に飾るものであることから、自らの分身として旅立つ人に手渡しもした。

 『古事記』には、伊邪那岐命が、妻の伊邪那美命が差し向けた追っ手(黄泉醜女)から逃れるために、櫛の歯を後ろに投げ捨てたところ筍に変わり、黄泉醜女がそれを食べている間に逃げることができたという記述がある[3]。同じく『古事記』で大蛇を退治しに出向く須佐之男命は櫛名田比売を櫛に変えて自分の髪に挿した。
 天皇は斎宮として都を旅立つ皇族の少女を見送る儀式で、「別れの櫛」を手ずから髪に挿し、別れの言葉をかけた。彼女たちは身内か天皇に不幸があるまで都に帰ることはできず、巫女であるため任務を解かれるまで恋愛もできない。櫛を挿す儀式には俗縁を断つという意味があるとされる[3]。逆に成人式に当たる「髪上げの儀」では、大人社会への仲間入りの象徴として櫛が少女の髪に挿される。この儀式の直後に婚礼を済ませることもあった。
ドイツ童話の中には『白雪姫』のように、櫛が女性の生命活動を一時的に停止できる(気絶させたり、金縛りにしたりする)黒魔法の道具として登場することもある。
 古代中国の一部の呪術者の中には、『捜神記』の于吉のように体を洗わず、髪に櫛を入れないことで雨乞いをする者もいた。
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 力士の引退セレモニーでお世話になった方々に「髷にハサミ」を入れてもらったり、反省の意を表するのに「頭を丸め」たり、髪の毛を切ってそれを身代わりにしたりするなど、髪の毛というのは時として「肉体と精神の中間のような存在として扱われる体の部分」として扱われています。その髪の毛を「とかす」櫛がこれだけ古来から脈々と廃れずに使われ続け、そして霊的な意味づけをされるなどして重宝されてきたのには、私たちではまだわからない「何か」があるのではと思ってしまいます。

 梅雨時期、髪をとかす機会も多いです。なかなか外出もしづらい期間が続いていますが、櫛を通す事で頭皮の血流も上がり、リラックス効果も生まれます。心地よい睡眠を取るため、寝る前に櫛を通す生活をお勧め致します。

引用文献
wikipedia「櫛」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AB%9B

二葉鍼灸療院


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