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【Fトーク#3】 急速に進化するスポーツ×デジタルについて語る「情報を発信できるチャンスが誰にでも与えられている」 ゲスト:西垣雄太氏

今回のゲストは、デジタルとクリエイティブを融合したイベント企画やプロモーションを手がける株式会社GENEROSITY(ジェネロシティ)で、代表取締役 CEOを務める西垣雄太さん。株式会社F(エフ)の河合健太郎が、西垣さんとスポーツとデジタルの未来について熱く語り合います。(*こちらの対談は、2019年12月にFのオフィシャルサイトでご紹介した記事になります。)

スポーツマーケティングのプロフェッショナルな2人のトークをお楽しみください。

#3 Fトークゲスト
西垣雄太氏 プロフィール
株式会社GENEROSITY代表取締役 CEO

1989年生まれ。2015年5月株式会社DAWGSを設立。同年7月にデジタルフォトプリントサービス「#SnSnap(エスエヌスナップ)」をリリースし、株式会社SnSnapに社名変更。SNSを軸としたデジタルコミュニケーション企画を強みに事業展開し、2016年12月に同社をPEファンドに株式譲渡。立体的なブランド体験の企画、制作、実施まで行うエクスペリエンスエージェンシーとして成長し、2018年9月に株式会社GENEROSITYに社名変更。国内外1,200を超える案件実績を達成し、ファッション、ビューティー、スポーツ、エンターテイメントという幅広い分野でデジタルとリアルの両面のコミュニケーションを駆使した立体的なマーケティングを行っている。

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GENEROSITYが行う事業について

河合:西垣さんが「起業する」と言っていた2014年頃に出会いましたよね。

西垣:もう5年前になりますね。

河合:御社は、どのようにして成長してきたのですか?

西垣:会社を立ち上げる頃、スマホやSNSの普及によって、テレビ等の限られたメディアから一方的に情報発信されるのではなく、写真も動画もビジュアル先行型で個人がメディアとなって発信していく時代に突入しました。そこで、Instagram、Twitter、Facebook、LINEと一緒に「さらに付加価値を高めるコンテンツを企画したい」と考え、2015年に起業しました。

2016年から日本でもInstagramが本格的に流行り始め、2017年には流行語大賞にもなった「インスタ映え」という言葉が出てきました。2015年にSNSを軸にしたサービスを展開する企業は少なく先駆けだったと思います。

また、もともとはInstagramや広告のサードパーティーコンテンツや写真を提供している会社だったんですが、ブランドや企業と直接コミュニケーションをとり、SNSと連携したデジタルコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるなど事業を広げたことで、2017年後半から2018年にかけて成長したというのがありますね。

<Spotify @SUMMER SONIC 2019>

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河合:なるほど。そうだったのですね。

西垣:振り返ると2015年頃はInstagramとFacebookとTwitterの違いを分からない人たちばかりでした。例えば、銀行に融資を受けに行っても、自分たちの会社の事業説明する前にInstagramや#(ハッシュタグ)について説明をしていましたからね。それがこの2、3年でInstagramと#が当たり前なものとなったので、情報の移り変わりとコミュニケーションの方法が劇的に変わったと思います。そこに弊社が新しいマーケティングをぶつけたということになります。

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スポーツとファッションを手がける理由

河合:そうですよね、前職のアディダスの経験を振り返ってみても、4年に一度のサッカーW杯ごとにプロモーション戦略が大きく変化していた記憶があります。ちなみに御社が仕事をしているクライアントはスポーツやファッション関連企業が多いですよね。初めから、そこを狙っていたんですか?

西垣:それはありましたね。僕がアメリカにいた2012年頃に、日本では遅れてFacebookやTwitterが使われるようになっていきました。しかしアメリカでは、Instagramが主流となって多くの企業が公式アカウントを持ち始め、デジタルマーケティング部という部署が立ち上がっていったんですよね。

それでInstagramがアメリカやヨーロッパで盛り上がっていくのを肌で感じ、日本でも必ず流行ると思い、どこよりも先にやろうとファッションとスポーツにメインフォーカスしていきました。

河合:なるほど。なかでもGENEROSITYは、ソーシャルとリテールやイベントなどリアルな場を繋げていたのがユニークでしたよね。多くのSNS支援企業はSNSでのファン数やシェア数を増やすことや運用サポートをメインにすることが多かったですが、SnSnapなどのサービスはクライアント側の「ソーシャルをやりたい」マーケティング部門と、「その有効性がイマイチ腹落ちしていない」リテール側のギャップを埋めるのに凄くマッチしていたと思いますね。

西垣:そうですよね。イベントをやるにしても、SNSでどれだけ拡散されて、どれだけLINEの友達追加できたかとか、来場者のスマートフォンをトラックしてデータ化するというのがホットワードでした。来場者に楽しんでもらえるコンテンツを提供できて、マーケティングが予算をかける意味がちゃんと残る形にして、SNSアカウントがその広がりを効果測定できることが今でも評価され続けているポイントになっています。

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時代の変化について感じること

河合:西垣さんはミレニアル世代ですし、コミュニケーション方法が僕らの世代と全然違いますよね。

西垣:僕は平成元年生まれです。小学生の時に「昨日、あのテレビ見た」という話で盛り上がっていましたが、今はメディアの数が多くて、それぞれ自分たちにとって好きな情報をそれぞれの形で得やすくなっています。それゆえマーケターは共通の言語を作りにくく、話題を仕掛けにくいですからね。昔はマス広告や旧テレビなどの限られたチャネルから同じ情報が提供されていましたが、今の若い子たちの情報の取り方は全然違いますし、自らも情報を発信できるので、そこを1番考えなければならないと思いますね。

河合:確かに、どうしても発信する側も自分の経験や知っていることをベースに考えてしまいがちですが、ターゲットとする消費者のリアルに合わせて落とし込んでゆくことが本当に重要ですよね。スポーツに関しては、どのような変化を感じていますか?

西垣:スポーツメーカーとクラブによって考え方が違うんですが、メーカーは売るチャネルが相当変わってきていますよね。直営のストアがECで販売していますが、今はラインで友達になればクーポンをもらえて、ECサイト情報が送られてくるので、インフルエンサーや有名人が使う商品のタグ付けからECで買える時代になっています。メーカーがかつてないほどに個人と繋がるのを求めているので、ユーザーを獲りにいくのを代理店に任せている時代ではなくなりましたよね。

河合:そうですね、こういったメデイア環境になったことも追い風になって、かつてないほどメーカー側のD2Cチャネルに対する投資やシフトが起こって言いますよね。ブランディングや顧客との関係構築という意味では、そこが一番コントロールが効くわけで。そういった背景もあり、メーカー側も代理店任せでなく、インハウスのクリエイティブチームやニュースルームのような機能をもつことは増えていますよね。クラブについては、何を感じていますか?

西垣:昔のように野球とサッカーが毎日地上波で放送される時代じゃないですし、地上波がなくなればスタジアムのスポンサーがどんどん減っていくので、結局メガな予算があるゲームやデジタルな会社に頼るしかないみたいな感じになっています。新しい映像配信系の会社も出てきていますし、いかに実際に球場に来てもらうファンを増やして、その場でしか得られないリアルな体験や、グッズや飲食などを楽しんでもらうか、どのクラブもかなり悩んでいると思いますよね。

これまではテレビと会場で試合を見て感情移入してファンとなることが多かったと思いますが、今はオンラインのメディアで何でも見れてしまうので、やっぱり地上波を見なくなりますよね。かつては地元ローカルの情報しか入ってこなかったことが根強いファンを作っていましたが、海外のバルセロナを皆フォローして、試合もリアルタイムでオンライン観戦でき、グッズもECで買える時代なので、昔のようにメディアコントロールしにくくなっていますよね。

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5Gによって変わる未来を予想

河合:今まさに色々なことが試されている時代にあると思いますね。

西垣:そうですよね。立体的にコミュニケーションを取っていかなければならないですよね。ボーダレスに情報を発信できるチャンスが誰にでも与えられているので、どう攻略していくかですよね。

河合:スポーツで言えば、試合がない日や負けた時にも、どれだけ惹きつけてニュースを提供して繋げられるかも鍵となりますね。例えば、アマゾンプライムで放映していたマンチェスターシティのドキュメンタリーはクラブハウスやロッカールーム、監督や選手の素顔、などを1シーズン追いかけた踏み込んだ映像になっていて、それを見ることでチームに対する親近感を持ちファンになったいうのはすごくあると思います。つまり、試合以外の部分も含めてどうエンターテイメントにしてゆくか、というのは大きなテーマで、そこはコンテンツホルダー側も今まで以上にフレキシブルに、時には多少のリスクもとりチャレンジすることが大事だと思います。

西垣:会社を立ち上げた時に、すでに東京でのオリンピックとラグビーワールドカップの開催が決まっていました。事業計画で「2020年の東京五輪をデジタルで盛り上げる」というのを会社のMISSIONの一つとして掲げて動いていたんですよね。これから先、東京と次の五輪もそうだと思うんですが、かつてないほどに世の中に対してデジタルを使ってコミュニケーションができる環境が整っていきます。

河合:そうですよね。これからどのような時代になると思いますか?

西垣:5Gによってデバイスが変わり、世の中が変わります。今ではスマホでコミュニケーションをしているのが当たり前ですが、ウォッチ、メガネ、カードケースサイズにインターネットを接続できる時代になっていきますし、データ量と速度もかなり変わりますから、例えばこれまで大人数が集まると繋がりにくくなっていたスタジアムでの通信も劇的に進化します。なので、スタジアム体験はここから本当に大きく進化してゆくと思います。また、それのみならず、こういったテクノロジーの進化をどうやってスポーツに落としていくか、物凄くチャンスがあると思うので楽しみです。

河合:そうですね、やはりスポーツがより多くの人を惹きつけ魅了するには「競技」だけでない、総合的な「エンターテイメント体験」としての価値がとても重要だと思いますし、そういった意味ではまだまだ日本にはやるべきことが多くありますよね。Fとしても、様々な異業種のトップランナーの方々と手を組み貢献して行ければと思います。GENEROSITYの今後にも期待ですし、ぜひ一緒に盛り上げて行きましょう。

*こちらの対談は、2019年12月にFのオフィシャルサイトでご紹介した記事になります。

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