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カシミール紛争地・スリナガル

インド北部のジャンムー・カシミール州は、名前の通りカシミール問題で現在も国境のパキスタンと領有問題で揉めている地域である。州都が2つあり、夏はスリナガル、冬はジャンムーである。その中でもスリナガルは現地人をして「いくな」と言われている街であり、僕が9月13日に訪れた場所である。

2019年8月15日以降、外国人がスリナガルへ陸路で行く方法が絶たれた。したがって、空路でトランジットで向かう事となった(原因はよくわからないが、ラダックの人がそう言っていた。実際検問で旅行者が行けなかったとのこと)。ラダック地方最大都市・レーの宿のオーナーには「空路でスリナガルに着いても街は危険だから入れないよ」と、フライト前日に言われつつも、最悪空港で過ごせばいいやと思い現地に向かった。
(ちなみにジャンムー・カシミールのもう一つの都市・ジャンムーは移動は余裕。カシミール地方の一部・ラダックのレーはもっと安全で、近郊散策にはパーミッションが必要であるものの、観光客に開かれた地域である。)

今日、スリナガルの市街に出れない、あるいは行くな、と言われながらも案の定行ってまった話をしよう。仮に空港から出てなかったら、こうして文章を書いていないので、一つのネタになったし、無事に出ることができてひと安心である。(カシミール問題に関しては、ラダック訪問記を参照)

カシミール地方上空

ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈が並ぶこの地域上空を、レーからスリナガルという山脈縦断フライトで上から眺めた。

レーの街では遠くに見えていた雪山が徐々に近づいてくる。

しばらくすると全部が雪山になってきた。

日が昇る(現地時間7時半)。連なる山脈の若干上をいく飛行機から見る稜線はなんとも神々しいしおそらくこの地でしか見れない光景。

連なる山々。

スリナガルの大地が見えてきた。

というわけでレーから1時間もしないうちにスリナガル着。

スリナガル市内

スリナガル空港に着いて降りた外国人はマレーシア人ムスリム女性と僕の二人のみ。市内の外国人の滞在には空港で届出が必要である。早速記載を始めると、係員が僕には「トランジットならば書かなくていい。街は危ないから空港で待機した方がいい」と言ってきた。
そうだよね、実際トランジットで来たのですぅ、といって、途中で書くのをやめて出口へ向かう(乗継口が空港内にないので、到着口から出発口へは結局空港外に出なければいけない)。

空港出口に出た。その辺にいたドライバーに「市内にいけるのか?」と聞いて問題ないとのことだったので、好奇心が高まる。空港で待機した方がいい、という空港職員の3分前のアドバイスは聞かなかったことにし、市内に連れて行ってもらうことにした。(はっきりいうが、空港職員のアドバイスに背くことはオススメはしない。)

空港のツーリスト案内所。誰もいない。
どうやらこの地は地上の楽園らしい。

スリナガルで一番の写真スポット、それがダル湖。対岸では水上暮らしの人々の生活が垣間見れる。

カシミールまで来るとヒンドゥー表記も消えて英語かウルドゥー語(アラビア語)表記になる。

対岸へ渡る。

船着場に到着。(最初はバラナシでありがちな、船に乗ったが降ろさない詐欺の手口にかなり警戒して船に乗るのを躊躇ったが、せっかくきてしまったからには好奇心が勝って乗った)

サフランやスパイスの入った香り高いティーを飲んで再度幹線道路へ戻る。

街中にはJ&K(ジャンムー・カシミール州)警察の検問が1kmに1回はある。

目の前で発砲と爆発が起き煙出る。
運転手「よくある事」わい「マジすか」

写真には写せなかったけど、基本20mに一人、遠くても50mに一人の銃を持った軍人が配備されており、場所によっては軍人の方が多い場所もあった。したがって市内でカメラを構えるのが至難の業。

カシミール地方の住人は何を思う

カシミール問題の発端は、1947年インド独立の際に、カシミール地方の住人の過半数がムスリムだったにも関わらず、かつての藩王がヒンドゥー教だった為に、パキスタンではなくインドとして独立してしまった事にある。

スリナガルを案内したドライバーは語った。
「俺はムスリムだし街の90%以上はムスリム。国をもし選ぶならインドよりもパキスタンに属する事を選ぶ。でもこの問題がずっと解決しないことが問題だから、国とかどうでもいいから早く国際社会からこの地域が危ないというレッテルを貼られずに、皆に美しいスリナガルに来て欲しい。日本も空港の人もリスクを取りたくないからすぐこの地が危ない、街に来るなと嘘をつく。でもどうだろう?実際に安全だって分かっただろう?だから今度はゆっくりしてって欲しい」

ドライバーは最近のカシミール問題の報道の影響で観光客が来ずに稼げないことを嘆いていた。

銃を背負った軍人だらけのカシミール地方ど真ん中のスリナガル、(銃声と爆発音は気になったが、)実際は空中散歩も湖もとても綺麗でなところだった。

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