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#233 [文学] 白人読者にも黒人読者にも衝撃を与えたベストセラー小説

第34週 第2日(火)文学「見えない人間」

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。

今日は文学「見えない人間」です。

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本の要約

ラルフ・エリスンの「見えない人間」(1952年)は、鋭い社会批判と画期的な文学技法を両立させた小説だ。

オクラホマ州に生まれたエリスン(1914年~1994)は、ジャズ・ミュージシャンを目指し、アラバマ州のタスキーギ学院(現タスキーギ大学)に入って正規の教育を受けた。学院卒業後は、政府のプロジェクト「連邦作家計画」で職を得た。1936年にニューヨーク市へ移り、詩人ラングストン・ヒューズや小説家リチャード・ライトら黒人作家と親交を深めた。

「見えない人間」の主人公「僕」は、南部出身の優秀な黒人学生だ。大学の奨学金を得るため、地元の白人グループから人前で侮辱されるのに耐えたあとで、黒人である大学学長が、狡猾でずる賢い男で、あからさまに人種差別的な白人たちと変わりないことに気づく。
「僕」はハーレムに行き、演出家として能力を買われ政治組織に加わるが、組織内で彼の影響力を恐れ、自分たちの権力を脅かす存在とみなした黒人と白人の双方から襲われたのである。

「見えない人間」は、白人の人種差別を容赦なく描き出す一方で、アフリカ系アメリカ人のコミュニティーも批判している。

「僕」は、黒人社会の中で、互いに裏切り、足を引っ張り合い、公民権運動よりも自分の勢力拡大を気にする自己中心的な黒人たちに、数え切れないほど出会う。やがて「僕」は、自分は「見えない人間」なのだと悟る。彼が会う人々は、全員が人種差別化利己主義のどちらかに目をくらまされていて、彼を否定的な偏見で見るか、自分たちの目的を達成するための道具としてしか見ていない。一人の人間としてみてもらえないことに失望した「僕」は、地下に潜り、そこで自分の人生についての物語を書く。

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人間としてのアイデンティティ

このあらすじを見る限り、黒人が世界で生き残るすべは

・白人に取り繕う。
・自分の地位を守るために他の黒人を蹴落とす。
・自分の地位を誇示するために、他の黒人を裏切る。

この作品が出版されたのが1952年。

リンカーンの黒人奴隷解放が1865年程度だったと思う。

この間に90年もの月日が経っているにも関わらず、黒人と白人の経済的状況というのはとてもじゃないけど好転しているようにはみえない。
未だに人種差別が亡くなっていないという現状を見るとしょうがないのかも知れないが。

人種差別をされている側も、意識が既に、敗者のなかでもマシな生き方を模索しているような、諦めを感じる。

どうして、どうして差別をしてしまうのか。人種なんて本来関係ないだろ。
日本にいると本当にわからないことだらけだなとつくづく思う。


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