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#324 [文学] ひとりの友人への愛情を表現したシェイクスピアのソネット

第47週 第2日(火)文学「ソネット18番」

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。

今日は文学「ソネット18番」です。

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本の要約

君を夏の日と比べてみようか?
君のほうが愛らしく、ずっと穏やか。
荒々しい風は5月のかわいらしい蕾を振るわせるし、
それに夏の時季は、とにかくあまりにも短い。
ときには天の瞳がひどく暑く輝くこともあるが、
その黄金の表情を曇らせることも多い。
それに、君の永遠の夏を、決して色あせさえないし、
君の待つ、その美しさ失わせない。
それに死神にも、君が跡を付いてくるなどと言わせはしない。
永遠に残る韻文の中で、君は時間と一つになるのだから。
人間がこの世で生きをし続け、目で物を見ることができる限り、
この詩はいつまでも生き続け、君に命を与え続ける。

ウィリアム・シェイクスピアの愛と詩と死について深く考えた18番目のソネットだ。

「ソネット18番」を読んだ人は、この詩は語り手がロマンチックな恋心を寄せる若い女性に当てて詠んだと考えることが多い。しかし、このソネットはじつは男性の友への愛情を表現したものなのだ。シェイクスピアのソネットのうち、最初の126編は名前不詳の同じ若い男性に向けられている。この若者が誰で、語り手とどういう関係だったのか、真相は今も不明のままである。

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ソネット18番

美しさと、儚さと、芸術が持つ不朽の力を詠んでいる。
語りては、太陽の輝かしさも含め、自然の美しさは、時間や四季の移ろいとともに陰っていくと語る。しかし、この若者の美しさは、このソネットに記録されるため、彼の「永遠の夏」は「決して色あせ」ない。死でさえ、ソネットの耐久力の前では無力だ。なぜなら、この詩は「永遠に残る韻文」を通して若者に「人間がこの世で生きをし続け、目で物を見ることができる限り」実質的に「命を与え続ける」からだ。

それほどまでに美しいと思える友人がいるなんて羨ましい。しかも、それを素直に称賛できるシェイクスピアはもっと素晴らしいと思う。
126編もの詩を同一人物について残すというのは、シェイクスピアにとって本当に特別な存在だったのだろう。


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