16.COSET続報②

年始から開始した2段ベッドによるトマト栽培、COSETの実証試験。今作の収穫をほぼ終えた現時点で十分成功と言える結果となった。

懸念していたのは下段で栽培するトマトの手入れ作業性と通路の確保だったが、その両方で特段問題は発生しなかった。農薬散布や収穫作業時も十分な通路幅を確保出来たことで、作業効率に影響を与えることは無いと言える。

一点、課題として残ったのは「味」である。

下段で栽培するトマトは収穫作業効率を考慮して、大玉トマトを栽培する。これは、しゃがんだり、台車に乗って作業する関係上、収穫するトマトの実の数が少ない方が作業者に優しいと考えてのことだ。

余談だが、収穫時の手間は大玉トマト<中玉トマト<ミニトマトの順に増大する。大玉トマトは1果で150g程度、中玉トマトは40g程度、ミニトマトは15g程度なので、単純に同じ重量のトマトを収穫する時にミニトマトは大玉トマトの数倍の手数を必要とする。

こういった理由で大玉トマトを選択した訳だが、この大玉トマトの高糖度化が非常に難しい。今回も着果数を制限し、水も最低限しか与え無かったが、糖度6程度の普通のトマトになってしまった。

高糖度トマトとしてブランディングしていくには、糖度8以上を確保する必要があるため、今のままではダメである。

そこで対策を2つ考えている。

1つ目は品種を変えるということ。今回は桃太郎ヨークというスタンダードな品種を選択したが、この品種は育て易く、良品率も高いものの高糖度化には技術を要するため、マニュアル化するには難がある。

そのため、次作ではセレブスイートとという品種に変更する予定だ。この品種はやや小ぶりの大玉トマトで高糖度かつ濃厚な味のトマトだ。収量は落ちるが、品質は向上するため、弊社の方針にマッチした品種と言える。

2つ目は養液の濃度変更である。今作は作業性重視で草勢を抑えて栽培するために与える養液の濃度を薄くして施用していた。一般的に養液の濃度を高くすればするほど味は向上する(その代わり生育の制御が難しくなる)ため、生育のバランスをみてギリギリまで濃度を高くする予定だ。

この2つの対策を次作で取り入れることで、いよいよCOSETが完成すると考えている。結果が出るのは約半年後。時間がかかりヤキモキするが確実に前進している。

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