わたしの夏 15日目

この、1日ずれてるのをどうにかしたいな。

どこかのわたしががんばってください。

8月15日

台風の日は、好きなだけマンガに課金していいことになっている。

適当な少女マンガを読んで手までドキドキしてもよかったが、今回は名探偵コナンに640円突っ込んだ。

いっけぇぇぇぇぇええ


ダラダラ読めることへの期待にベットしたが、「わたしの名前はRUNよ!走るために生まれてきたような名前なんだから!」というウソみたいな名言と再会して、思いがけず興奮まで味わえた。
これだから殺人ラブコメはやめられない。


そういうわけで、日中は、マンガを読みながら、おかきを食べて、寝て、おかきをたべて、寝て、とびきりぜいたくに過ごした。
おかきの詰め合わせパックを買っておいたので、食べ比べもまたレジャーだった。


いつもなら窓の外の様子が気になってしかたないのだが、今日はカーテンを開けなかった。

数年前のひどい台風のとき、窓の外をじっと見張っていると、鳥が飛ばされていった。
なんとなく、あれを超えるものは見られない気がしたのだ。


日が暮れるころには、結局のところ「雪の宿」に勝るおかきなしとハッキリしてきていた。
わたしが知るもののなかで、上位の完全体である。
だって、名前は魔法で、最初の呪いなのだ。


夜がきて、『サバカン』という映画をみた。
長崎の海が舞台の、少年たちの青春映画だった。

感受性がぐにゃぐにゃなので、胸を打つように作られている作品は、基本的にボロボロ泣いてしまう。まぶしくて切ない、強烈な夏だった。

エンドロールのあと、夫が「夏の詰め合わせでしたね」と口をひらき、まったくそうでしたねと思った。
「まあな」とだけ返事した。

わたしにとっての強烈な夏は、10歳のとき
母が連れていってくれた、イギリスの小さな島、ワイト島にピン留めされている。

2時間半ほどで一周できる小さな島。
島国のなかの島国には、時間がゆったり流れる。

1ヶ月以上の長期滞在で、だんだんやることがなくて、よくふたりで海沿いのゲームセンターに通って、横に並んでメダルゲームをしていた。
メダルと景品がじゃらじゃら落ちてくるやつだ

もっと行くべきレジャースポットもあったはずなのに、プラスチックの真っ赤な宝石を手に入れて、わたしたちは大盛り上がり。
ほんとうの贅沢は、ガイドブックに載ってない。
なにも心配することがなくて、ゲラゲラ笑った。

あの夏、あの海、あのジグザグの坂道、消えかけの記憶をAIがさらさら描いてくれたら、ぜんぜん違っても、ボロボロ泣いてしまうと思う。



わたしは夏が上手じゃないけど、
1位の夏は、まだまだ来てないといいな。

手におえないほど、いい気がする


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