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トレイン、トレイン。

僕はこの文を札幌へと帰る特急オホーツク4号で書いている。

 例年なら5月、僕夫婦の結婚記念日あたり、ゴールデンウィークが終わった後に嫁さんと二人でテーマを決めて細やかな国内旅行に出かけるのが恒例の行事だったのだ。末広亭に話を聞きに行く、フェリーに乗って飲み歩く、関門海峡を観るなど。が、例のチャイナウイルスのせいで全部ぶっ飛び。騒ぎが収まったら年内には何とか行きたいと思っていたが、息子も帰って来ているこのタイミングで家族旅行へと変更したのだった。なのにその旅行の中日には柏戦がある。しかも18時30分キックオフ。普通の旅行ならその時間は家族団らん。お風呂に入ったりステキな晩ご飯を頂いたりする時間じゃねーか!気が利かねぇなぁおい。だが、男には戦わなければならない時がある。戦わなければならないステージがある。それがステキな夕食バイキングの時間であってもだ!そう、俺は男!俺は戦う男なのだから。

という事で、真昼にハリウッドザコシショウの芸を観てしまった時のような顔で俺を見る嫁さんを無視し息子の、ああこういう人だよね父ちゃんはという表情も見返す事もなく、夕食バイキング会場にて柏戦観戦ですよ!スマホでダゾーンですよ!ダダーン!この時の為に息子のモバイルWi-Fiも持ってきたんですから!そう、俺は男!俺は戦う男!ダダーン!

カットステーキやらエビチリやら酒の肴をほっふほふ頂きながら観た前半は0-0。ここまでは良かった。ハーフタイムにじらしにじらして海鮮丼を持ってきたところでゲームへの緊張感が夕食バイキングの臨場感にすっぽり飲み込まれたのですね。サッカーでもありますよね、後半の飲水タイム後とか、後半の頭10分とかに。カニのおかわり、しようかしらと胃袋の残量の確認をしているところで柏戦の事を思い出す。ああ、コリャいかん。あ、ちょっとコンサドーレ観るねーごめんねー。音出さないからねー。で、0-1。札幌ホームで0-1。ホームが0で客が1。カニは…足が何本だ…?海鮮丼は…イクラの合い載せでおかわりしよう…。それが、責めてものつぐないになるのなら…。だって、だって、それが男ってもんじゃないですか!戦う男だし!

失点シーンは部屋に戻ってから観ました。ありゃ、ほぼ事故でしょ。狙ったんだとしても事故。我が軍のプランは遂行されたのだと、果たされたのだと思います。それで最少失点。後ろは頑張った。守備は頑張った。問題は点の取り方に尽きる。少しミシャの言うことに忠実になり過ぎてやしないんだろうか。こんな時は選手会の総決起ジンギスカン集会で気持ちを一つに…出来ないんだよなぁ。今年はなにかと厳しい。

僕はこの文を札幌へと帰る特急オホーツク4号で書いている。列車は闇の中を走り続けている。どの駅に止まっても停車時間はほんの少し。新しい景色も見えないけれど、楽しみ方はあるものだ。とりあえず荷物の中にあるぬるくなった缶チューハイで残りの行程を楽しむとしますか。

おみやげは、ありません。

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