コマーシャルと現代社会 第10回-キャラものが流行る時代

 いや~キウイブラザーズ、かわいいですね~。


 裁判だか自動車事故だか扱ってきたこのコラムにしては稀にみるノンキな出だしですが…今回はずっとこんな感じです。平和でいいですね。


 さて今回の本題。TVCMでよく見かける『企業キャラ』、いくつ知っていますか?例えば…ジュースを飲んでばっかりいる「Qoo」、「ドナルド・マクドナルド」、「チャルメラおじさん」、あと「Novaうさぎ」とかも…あのうさぎ、TVCMの中で一度耳を鷲掴みにされて耳が抜けてしまいました(ちなみに抜けた耳はすぐに再生するんですよね。そしてそのCMは動物愛護の観点から…こっから先はご自分でお調べください)。



 そんなわけで今回は『企業キャラ』を大特集します。特にキャラクターが増えた90年代・00年代を中心に見ていきます。最後には『企業キャラ』は万能ではないという話もしますのでどうぞお楽しみに。


「バザールでござーる♪」


 パソコンメーカーのキャラクターで91年に登場した「バザール・デ・ゴザール」。かわいらしいサルのキャラクターで、単純すぎる罠にかかってしまったり、巨大岩に追いかけられたり、足場となる木の枝がぽっきり折れたりと散々な目に遭うTVCMが人気を博しました。キャンペーングッズは軒並みプレミア化しています。


「のどが痛い!熱が出た!狙いうち」



 風邪薬の定番キャラ。カプセル状の薬を模した「Mr.コンタック」は96年に誕生。大阪市生まれの彼は生年月日も決まっていて、御年五五歳(執筆時:2021年)。


 ちなみにメガネをかけて鼻声のような声を発する「コンタック東京くん」なる別キャラもいました。


「ペプシマーン」



 コーラを欲する声が聞こえたら全速力で駆けつけて、颯爽と去…れない!毎度必ずオチをつける銀色のヒーロー。日本産キャラなのにアメリカ風なのがシビれます。プレステでゲーム化もされた(しかも激ムズ)愛すべきキャラ。


「どうする?」


 チワワのくぅ~ちゃんが瞳を潤しながら訴える消費者金融のCMが流行したのは03年の頃。『企業キャラ』というには多少強引な感じもありますが、一応「ちわフル」というキャラ名があるようです。


 まだまだ話は尽きませんが、先ほど告知した話をして終わりにしましょう。そうなんです。『企業キャラ』は万能ではありません。CMの為にキャラクターを作るということは、そのキャラクターが人気になって欲しいという想いが根底にあるはずなんです。それが思いもよらない結果を招いてしまうことがあります。


 83年の缶ビールのCM。「パピプペンギンズ」というキャラを作り、登場させました。愛くるしいペンギンと泣かせるシナリオは人気を博し、プレゼントやパッケージにも「パピプペンギンズ」を起用しました。それに反応したのはなんと小学生たちでした。




「ペンギンのイラスト付きグッズ欲しさに子供が商品を買っている。未成年飲酒助長だ」


 人気CMはそこで取りやめに。似たような事例で14年の缶チューハイCM事件があります。



 さらに消費者金融のCM。宇宙人が「ラララ」と歌いながら合コンに参加したり、フィギュアを欲しがったりする内容で、キャッチ―なCMソングとともに人気を博しました。しかしそれで作られたグッズにも子供たちは反応。対応を迫られました。



 酒や消費者金融といった未成年への関与が相応しくないものでは『企業キャラ』の起用はハイリスクなんですね(チワワ、よく大丈夫だったな)。表現の取捨選択、気を付けたいものです。


コマーシャルと現代社会 第11回「ハワイと宇宙」へつづく

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