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ぐっときた詩

赤ちゃん

何がうれしいのでしょう
赤ちゃんが
声たてて 笑っています
あんなに手足を ばたつかせながら

まるで大昔の
神さまの赤ちゃんが
お日さま だきかかえて
わはわは 笑っているみたいです
はだかんぼうで ねっころがって
まだできたての 山や川といっしょに…

とても思えません そこが
排気ガスとスモッグの街のまん中で
ごうごう ごうごうの 自動車洪水に
よろよろ よたよた 流されていく
お母さんの自転車の
うしろの小さな荷台の上だとは…

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はしる電車の中で

知ってるとか
知らないとかって
あほらしいことのような気がした

はしる電車の中で
いきなり笑いかけられた時のことだ
お母さんに負んぶされた
知らない よその赤ちゃんから…

いっしょに生きてるんだよね!
と いうような
嬉しくてたまらない笑い顔だった

もしも クマにであったら クマに
ライオンにであったら ライオンに
あの赤ちゃんなら 笑いかけただろう
いっしょに生きてるんだよね!
と 嬉しくてたまらないように

そして 笑い返しただろう
たぶん クマもライオンも
嬉しくてたまらないように
私が赤ちゃんに そうしたように

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うつくしい ことば

たのしそうに 口にしあっている
――ともだち
という うつくしい ことばを

ともだちで ないものには
しらんぷり しておこう
という いみにして……

しみじみ つぶやきあっている
――にくしん
という しみじみした ことばを

あかの たにんなどは
ほっとこうよ
という いみにして……


まどみちお

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