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ぐっときた詩

花の店

かなしみの夜の
とある街角をほのかに染めて
花屋には花がいっぱい
賑やかな言葉のやうに

いいことだ
憂ひつつ花をもとめるのは
その花を
頬えみつつ人にあたへるのはなほいい

けれどそれにもまして
あたふべき花を探さず
多くの心を捨てて
花を見ているのは最もよい

花屋では私の言葉もとりどりだ
賑やかな花のやうに

夜の街角を曲ると
ふたたび私の心はひとつだ

かなしみのなかで
何でも見える心だけが。

安西 均

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