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ドイツでの喧嘩 / 大陸横断 ~7日目

7月18日、ドイツに入国。目指すはトリーアという街。
そこにある何某大学だかに留学中の友達から「来れるもんなら来てみろよ、ビールくらいなら奢ってやる」とメッセージが来て、いやいやビールくらいと言わず、あわよくば、何泊かさせてもらって寝床とシャワーと冷蔵庫の中身を貪り散らかしてやろうという魂胆でとりあえず向かった。幸いにもルクセンブルク側からは目と鼻の先の距離で、半日もあれば余裕で辿り着きそうだ。

トリーアで俺を出迎えてくれたエロスセンター

ぼけーっと自転車を漕いでたら本当にあっという間に辿り着いてしまった。ちょうどトリーアに入ったところでセクシーな女の人がデカデカと写っている看板があって、ドイツ語まったくできないけどその下には「エロスセンター」と書かれていたことだけは確かで、それが俺を誘(いざな)っていたことも確かだけど、友達とのまちあわせの時間もあったことだしなんとか邪念を断ち切って回れ右をして、そしてそれを未だにちょっぴり後悔していることも確かだ。
あの時エロスセンターに行っていれば最高の思い出が出来ていたのも確かだし、行かなかったからこそ今の俺があるのも確か。
やれやれ、この世は確かなものばかりで埋め尽くされてらぁ────

トリーア

とりあえず⚪︎時くらいに街の広場あたりで、みたいなざっくりとした待ち合わせだった気がするけど、大きなトラブルもなく友達のシオリ(仮)と合流。ただそこには見知らぬドイツ人の男も一緒にいて、どうやら留学中に同じ大学でできた彼氏らしい。このミュラー(仮)くんは笑顔が素敵なおっとりとしたイケメンで、この後のドイツ滞在中に色々面倒を見てくれた大の恩人である。

巻かれているタイプのケバブとビール


何はともあれ3人でビールでも飲もうやと、そこら辺にあったバル的なお店でビールとケバブを注文。シオリと会うのも半年か1年ぶりくらいだったけど、ドイツでの生活はどうだとか、日本の友達連中もみんな元気にしてるよとか、ミュラーくんとはどうやって出会ったのだとか、他愛もない話でうだうだと盛り上がった。

が、終始のろけ気味で″女の顔″をしていたシオリにだんだんムカついてきて「お前はドイツに何をしにきているんだ、勉学に励みたまえ」「留学中に現地で男を捕まえるなんてけしからん」「山形の両親も泣いてるぞ」「お前は″こっち側″の人間だ調子に乗るな」とかなんとか言って喧嘩をふっかけたのを覚えている。

俺の激ヤバなバースとフロウで″敵″を一網打尽にしたと思ったのも束の間、そこからは後攻シオリのターン。「ろくに授業に出てなかったやつに言われたくない」「髪がベトベトすぎてありえない(1週間くらいまともに頭を洗っていないので)」「日焼け止めはちゃんと塗った方がいい」「不思議なことに臭くはないけどあまりにも髪がベトベトすぎる」などとまくし立てられ、このうんこみたいなMCバトルは俺の完敗。誇らしげに手を突き上げるシオリを横目に、うんこみたいな俺は泣きながらステージを降りたのであった………。

ミュラーくんと俺

ちなみにこの時のビールとケバブは全部シオリとミュラーくんが奢ってくれた。
両親を泣かせているのはどう考えても俺の方でしたとさ。もちろん俺も泣いています。


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